著者
岩崎 博四 米津 潔
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.33-39, 1978-01-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

ガスバリヤー性樹脂として有用な, 高ケン化度のエチレン-ビニルアルコール共重合樹脂 (EVA) を得る目的で, エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂 (EVAc) のMeOH溶液中でのアルカリ触媒によるケン化反応の諸条件を検討した. ケン化反応ではEVAc中の酢酸基とMeOHのエステル交換反応が主として起こるが, 直接ケン化反応および副生MeOAcの加水分解により触媒であるNaOHが消費され, 高ケン化度のEVAを得ることが困難であった。そこで多段蒸留塔を高圧ケン化器として使用し, EVAc-MeOH溶液およびNaOH-MeOH溶液を塔上部に供給し, 沸点または過熱下のMeOH蒸気を塔底部より吹き込んで, 塔頂部より副生MeOAcをMeOHとともに共沸組成で系外に追い出しながらケン化することにより, ケン化度99mol%以上のEVAを連続的に製造することが可能となった。