著者
岩崎,学
雑誌
日本統計学会誌. シリーズJ
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, 2007-03

新薬開発の臨床試験などのように,処置の効果の有無やその大きさを評価する研究では,同じ被験者に対し処置を施す前と施した後でデータを観測するいわゆる処置前後研究が行なわれることが多い.この種の研究デザインでは「平均への回帰」現象が生じ,ともすると試験結果の解釈に重大な誤りをもたらすこともある.本論では,平均への回帰がなぜ生じるのかに関する考察を行ない,正規分布のみならず,ポアソン分布および二項分布のような離散分布における平均への回帰を議論する.