- 著者
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渡辺 俊一
下川 新二
上原 景光
場集田 寿
山内 励
古園 耕治
岩村 弘志
上村 亮三
平 明
- 出版者
- 特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
- 雑誌
- 呼吸器外科 : 日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09174141)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, no.6, pp.750-754, 1990-11-15
- 被引用文献数
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より生理的な肺保存法として,摘出肺の胸膜外からの空冷保存を考案し,肺換気にはhigh frequency jet ventilationを用い,その後同所性に移植した.実験は2群で,4℃生理食塩水でflushしたdonor肺を,教室で開発した空冷保存装置で2時間及び5時間保存して同種左肺移植した群では,5〜79日の生存犬7頭を得た.他の群では,血液を含む細胞外液組成液でflushした6時間保存肺を同様に移植し,術直後及び術後3日目に100%酸素下で右肺動脈を閉塞,移植肺の機能を評価した.移植直後(n=5)の動脈血酸素分圧は,両肺で398.9±47,3mmHg(mean±SE),移植肺のみで357.6±48.0mmHgで,両老間に有意差はなかった.術後3日目(n=4)では,両肺で475.7±41.1mmHg,移植肺のみで330.5±53.6mmHgで,後者で低い傾向にあったが有意差はなかった.2つの実験群から,本法の有用性及びflush後6時間の肺保存が可能なことが示された.