著者
牟 安峰 平 明日香 松尾 恵太郎 高田 穣
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.547-553, 2021 (Released:2021-07-03)
参考文献数
11

細胞バンクに保存されていた日本人再生不良性貧血患者サンプルのエクソーム解析を発端に,新たな遺伝性骨髄不全症候群が同定された。本疾患は,もともと姉妹染色分体交換(SCE)が高頻度に認められることから新規疾患として認識されていたが,次世代シーケンサーという新技術開発によって原因遺伝子同定がなされたものである。ADH5とALDH2の2つのアルデヒド代謝酵素の同時欠損により,骨髄における血球分化に伴う内因性ホルムアルデヒドが分解されずDNA修復不能なレベルのゲノム損傷を引き起こし,骨髄不全とMDS白血病発症に至ると考えられる。本稿では,この疾患の存在が広く認知されるよう,日本の血液分野の臨床家にむけて,この疾患発見にいたる経緯と現在判明している特徴,その病態を概説する。
著者
氏平 明
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.4-20, 2013

This paper attempts to make certain qualitative differences between stutterers and non-stutterers clear by means of acoustic analysis. Previous studies have highlighted three areas of relevance to this study. The first is that breath control while speaking is difficult for stutterers. Secondly, the beginning of words are particularly challenging for stutterers. Finally, even without treatment, stutterers have on average an 80% chance of naturally recovering. The author collected data from 61 stutterers and the same number of non-stutterers, by recording their voices and analyzing them acoustically, such as for shimmer parameters. The conclusions are as follows. Preschool children (two to six years) and adults (twenty years or above) who stutter registered a statistically significant increase in score for Amplitude Perturbation Quotient (APQ) and Shimmer Parameter (SP) than non-stutterers of the same age range. This data suggests that stutterers have something wrong with their respiratory controls. On the other hand, for children of 7〜9 years old, APQ and SP scores were not statistically different between stutterers and non-stutterers. This suggests that the second stage of laryngeal development is correlated to the process of natural recovery. Also stutterers' problem of disfluency would appear to originate in the motor speech center in the brain.
著者
荻野 隆史 福江 靖 岸 大次郎 小平 明弘 山田 拓郎 萩原 周一 大嶋 清宏 飯野 佑一
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.365-368, 2013-11-01 (Released:2013-12-11)
参考文献数
3

症例は37歳, 男性. 主訴は意識障害. 既往歴は双極性うつ病で精神科通院中であった. 家族との会話中に突然興奮状態となりベンゾジアゼピン系薬剤を大量服薬したため当院に救急搬送された. 内服した薬剤は, ロヒプノール (1) 60錠, レンドルミン (0.25) 30錠, デパス (0.5) 14錠, レスリン (25) 14錠であった. 来院時所見ではバイタル等は問題なかったが, 入院後経過は服薬後11時間30分後に呼吸抑制が出現したため気管挿管を行った. ベンゾジアゼピン薬剤血中濃度遷延した原因は様々な理由が考えられるが, ベンゾジアゼピンは多く使用されている薬剤であり致死率も低いとされているが, 大量服薬後は血中濃度が遷延するため, 人工呼吸器が必要な症例もあり, 数日間は呼吸状態に注意すべきと考えられた.
著者
氏平 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.97, no.586, pp.57-64, 1998-03-05
参考文献数
23

本研究は吃音者の発音に着目して, その声の特徴を明らかにし, 音源の喉頭機能と吃音との関係を探究することを目的とする.そのため, 各23名の成人吃音者と健常者の持続母音の音響分析で病的音声の指標を調べた.結果はAPQとSPで吃音者は健常者より有意に高い数値を示した.次に吃音者の喉頭の器質的な問題を調べるため, 各4名の吃音者と健常者の声門を電子内視鏡で観察した.結果は全員異常が無かった.次にピッチの制御についてアクセント型と吃音発生との関係を調べた.結果は複雑なピッチと吃音発生率が対応していた.よって吃音者は喉頭制御に問題があり, それに複雑な処理の負荷がかかると吃音を生じやすいと考えられる.
著者
川杉 桂太 竹村 和久 岩滿 優美 菅原 ひとみ 西澤 さくら 塚本 康之 延藤 麻子 小平 明子 轟 純一 轟 慶子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.90.18219, (Released:2019-06-20)
参考文献数
24

In this study, we proposed three image analysis methods (wavelet transform, singular value decomposition, and Fourier transform) to evaluate drawings of the tree test quantitatively, and demonstrated the analyses to three images of the tree test drawn by schizophrenic patients. Wavelet analysis suggested that information about the position of drawn trees (direction, depth and width of drawn lines) can be captured. Fourier analysis suggested that information about the direction and depth of drawn lines can be captured. Singular value decomposition suggested that information about the position and direction of drawn lines can be captured. Further research is needed to consider the features of mathematical image analysis in detail, and apply them to analysis of the tree test.
著者
岩満 優美 竹村 和久 松村 治 王 雨晗 延藤 麻子 小平 明子 轟 純一 轟 慶子
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.651-658, 2013-04-15 (Released:2013-06-05)
参考文献数
16
被引用文献数
3

精神医科学や臨床心理学においては,投映描画は個人の人格的理解と行動の全般的理解のために用いられている.特にコッホによって開発された樹木画(バウムテスト)は,医学的診断の補助や心理学的評価のために用いられることが多い.投映描画の解釈では客観性に乏しく,信頼性が低いため,われわれは,いくつかの画像解析技法の手法を統合した方法を用いて,精神障害患者の描画を解釈することを試みた.本研究で提案された方法は,下記のとおりである.(1)濃度ヒストグラム法(GLHM 法),(2) 空間濃度レベル依存法(SGLDM),(3)濃度レベル差分法(GLDM),(4)矩形行列を実行列または複素行列に分解する特異値分解,(5)画像の波形成分を分解するフーリエ解析,(6)画像解析をもとにした描画の臨床心理学的解釈である.これらの投映的樹木テストの画像解析諸技法は,精神障害の心理学的過程を解釈するために利用された.
著者
常田 賢一 小田 和広 中平 明憲 林 健二 依藤 光代
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学論文集 (ISSN:1884846X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.596-604, 2007 (Released:2010-11-22)
参考文献数
7
被引用文献数
4

地震時の道路では路面の段差により車両の走行機能が阻害されるが, 社会的影響の低減のためには, 特に一般車両の迅速な開放が必要である. そのためには, 段階的な補修とそのレベルに応じた車両の解放が有効であるが, このような性能評価型道路管理の視点による補修, 交通開放の基準は明確でない.本研究は既往地震での地震直後の交通規制から解除までの運用の現状を把握するとともに, 地震時に発生する段差に関して, 模擬段差に対する車両の走行実験を行い, 段差通過時の車両の挙動, 段差量と車両の走行速度の関係, 段差通過時のドライバーの意識を明らかにした. また, 地震直後の交通止めから通常走行までの段階的な補修水準および車両の種類, 車両の走行速度に応じた交通開放の運用方法を提示した.
著者
野平 明夫
出版者
一般社団法人 電気設備学会
雑誌
電気設備学会誌 (ISSN:09100350)
巻号頁・発行日
vol.26, no.10, pp.767-770, 2006-10-10 (Released:2015-04-25)
参考文献数
4
著者
藤原 宏志 宇田津 徹朗 大平 明夫 柳沢 一男
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

土器胎土に含まれるプラント・オパールを検出する方法は、当該土器が製作される以前、土器製作地に検出プラント・オパールの給源植物が存在したことを立証する有効な方法である。本研究では、土壌および土器胎土に含まれるプラント・オパールを検出し、イネ(0ryza satival L)をはじめ、イネ科作物の栽培起源の追究を試みた。以下に、その大要を述べる。*縄文時代早期--鹿児島:上野原遺跡におけるテフラ(BP9000)直下の土壌試料からイヌビエ(Echinocloa属)のプラント・オパールを検出した。イヌビエと栽培ビエは極めて近縁であり、両者とも食用になる。当該遺跡では集落跡が確認されており、ヒエの粗放栽培が始まっていた可能性も充分考えられる。*縄文時代前期--青森:三内丸山遺跡出土の土器胎土分析の桔果、イヌビエのプラント・オパールが大量に検出された。遺跡が大規模集落であることを考えると、ヒエ栽培の可能性も視野に入れる必要があろう。*縄文時代後期--岡山:岡山大学構内遺跡出土の土器および岡山:南溝手遺跡出土の土器胎土分析の結果、イヌビエのプラント・オパールが検出された。これらの土器は約3500年前に製作されたものであり、同時代すでに西日本で稲作が行われていたことを証すものであろう。また、長崎:稗日原遺跡では、縄文時代後期に堆積したと考えられる火山灰(六ツ木火砕流:約3600年前)の直下からイネのプラント・オパールが検出された。これらのイネは、その随伴植物および遺跡の立地から畑作で栽培されたものとみるのが妥当と思われる。
著者
小武 和正 田平 明啓 川上 恭弘
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
pp.22-00201, (Released:2023-03-07)
参考文献数
22

The proteolytic enzyme inhibitor nafamostat mesylate is widely used for the treatment of acute pancreatitis and disseminated intravascular coagulation. This drug may be a risk factor for phlebitis, but this risk has not been studied. Therefore, we aimed to investigate the frequency of phlebitis and its risk factors in patients treated with nafamostat mesylate in intensive care units (ICU) or high care units (HCU). During the study period, 83 patients met the inclusion criteria, and 22 of them (27%) experienced phlebitis. A multivariate logistic regression analysis was performed for severe acute pancreatitis, administration duration, and administration concentration of nafamostat mesylate in the ICU or HCU. As a result, the administration of nafamostat mesylate for ≥ 3 days in the ICU or HCU was an independent predictor of phlebitis caused by nafamostat mesylate (odds ratio, 10.3; 95% confidence interval, 1.28–82.5; p=0.03). This study suggests that the number of days of nafamostat mesylate administration is associated with phlebitis in patients treated with the drug, and it may be necessary to pay attention to its administration for ≥ 3 days in the ICU or HCU.
著者
川杉 桂太 竹村 和久 岩滿 優美 西澤 さくら 塚本 康之 延藤 麻子 小平 明子 轟 純一 轟 慶子
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.63-71, 2020 (Released:2020-06-30)

In this study, the fuzzy inference technique was applied for preprocessing the clinical drawings of schizophrenic patients. The interpretation procedure for the clinical drawings was divided into two phases, namely preprocessing and interpretation phases. In the preprocessing phase, two analyses were conducted by employing the fuzzy inference technique and three analyses were conducted by applying Fourier transform, wavelet transform, and singular value decomposition on three images of the tree test. In the interpretation phase, the drawings and output images were psychologically interpreted. The contrast of each image was also examined for determining the feature associated with the corresponding output image of the fuzzy inference technique. Based on the compared interpretations and contrasts, it can be concluded that image analysis incorporating the fuzzy inference technique is superior as a preprocessing method employed before interpreting whole image. Further research is required for examining the relation between the empirical findings regarding schizophrenic patients and the parameter of the fuzzy inference technique.
著者
川杉 桂太 岩滿 優美 轟 慶子 小平 明子 延藤 麻子 塚本 康之 西澤 さくら 轟 純一 竹村 和久
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PD-053, 2021 (Released:2022-03-30)

本研究では,統合失調症患者と健常者の,図形分割課題時の眼球運動を測定し,その特徴を比較することを目的とした。対象者は,統合失調症患者13名および健常者37名であった。調査には,Iwamitsu et al.(2009)で用いられた図形分割課題を,ディスプレイとタッチペンを用いる形式に変更し用いた。課題は14試行(2分割方向×7図形)からなり,課題中の眼球運動を,アイカメラにより測定した。眼球運動データから,注視回数など六つの指標を算出し,また図形を対称に分割したか否かを指標として,二つの分析を実施した。まず,図形を対称に分割した頻度について χ2検定を実施した。その結果,図形を垂直に分割するとき,健常者の方が統合失調症患者より有意に高い割合で対称に分割したことが示された(χ2(1)=4.06, p<.05)。次に,眼球運動の指標について3要因(2群×2分割方向×7図形)の分散分析を実施した。その結果,統合失調症患者の方が有意に注視時間が長い傾向が認められた(F(1,48)=2.90, p<.10)。これらの結果は,統合失調症患者の注視傾向や,課題の形式等を反映したものと考えられた。
著者
海津 正倫 JANJIRAWUTTIKUL Naruekamon 小野 映介 川瀬 久美子 大平 明夫 PRAMOJANEE Paiboon
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1-11, 2022 (Released:2022-03-03)
参考文献数
12
被引用文献数
1

タイ国南部ナコンシタマラート海岸平野の砂州の形成と発達を,衛星画像,DEM,掘削調査,堆積物の年代測定結果などに基づいて明らかにした.砂州Iは長さ80 kmに及ぶ連続性の高い砂州で,砂州Iの背後にあたる砂州の西側には低湿地が広がり,泥炭層が形成されている.泥炭層基底付近の年代から砂州Iは7500年前頃形成されはじめたと考えられる.砂州Iの東側には砂州IIが発達し,最も新しい砂州IIIは現在の海岸線を縁取るように発達している.埋没砂州Yは海岸平野南部のフラバット山付近から南に向けて延びており,海岸平野の西縁付近には更新世に形成された砂州Xが顕著に発達している.これらのうち,砂州X,砂州I,砂州IIが北から南に向けて発達したと判断されるのに対し,砂州IIIは北のパクファナン入り江に向けて延びている.このような違いは1500年前頃以降の海況の変化を反映していると考えられる.
著者
大平 明範 村田 尚子 星 秀樹 杉山 芳樹 関山 三郎 武田 泰典
出版者
日本小児口腔外科学会
雑誌
小児口腔外科 (ISSN:09175261)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.33-37, 2000-06-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
21

The patient was an 8-year-old boy, who consulted our department on May 25, 1999, because of a black spot in the maxillary gingiva. He had under-gone application of saforide® in CB_??_ in a dental clinic 5 years previously. Thereafter, he noted a black spot in the surrounding gingiva, but because of no pain, it was left untreated. Recently, the patient consulted a dental clinic due to an increase in the size of the spot. He was then referred to our department. Intraoral examination revealed a flat dark brown spot (11×6mm) in the buccal gingiva around 2_??_, showing infiltration into the surrounding tissue. There was also a localized flat black spot (1×1mm) besides the dark brown spot. Based upon these clinical findings pigmented nevus or malignant melanoma was suspected. As a result of biopsy performed on May 25 using cryosurgery, histopathologically they were diagnosed as cellular blue nevi. On June 25, the spots were removed together with the surrounding gingiva and periosteum. The course has been uneventful these 8 months after the surgery without a sign of recurrence.
著者
石崎 直樹 浜田 信男 門野 潤 中村 登 平 明
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.752-756, 2000

leucovorin (LV)の5-FU効果増強作用を利用した5-FUとLV併用療法は,結腸直腸癌に対する有効な化学療法である.またUFTと経口でのLV併用療法は静注5-FU/LV療法に匹敵するという報告もある.われわれは高度の進行結腸直腸癌症例に対し周術期にUFT/LV内服療法を行い,画像および組織上有効と判定された2例を経験したので報告する.症例1は50歳の膀胱浸潤直腸癌症例で, UFT 300mg/m<sup>2</sup>/dayとLV 100mg/dayを1クール(28日)行い,画像上腫瘍の著明な縮小化を得た後,骨盤内臓全摘術で根治術を得た.化学療法の組織学的効果判定ではGrade Ibであった.症例2は55歳の男性.肝転移を伴う結腸癌穿孔で結腸切除と腹膜炎の緊急手術後,同治療を2クール行った.化学療法後のCTで肝転移巣は縮小し, CEAも著明に低下した.症例2の軽度な下痢以外副作用は認めなかった.従ってUFT/LV内服療法は,進行結腸直腸癌に対する有効な周術期補助化学療法と考えられた.
著者
氏平 明
出版者
福岡教育大学附属特別支援教育センター
雑誌
福岡教育大学教育総合研究所附属特別支援教育センター研究紀要 = Research bulletin of Special Education Center (ISSN:1883387X)
巻号頁・発行日
no.6, pp.1-14, 2014-03-01

口腔・鼻腔から出力される音声は必ず超分節的特徴を具えている。音声の最終出力の音声プランが描かれるとき,分節素の検索と配置の構成とともに,プロソディックワード(韻律語)の設定が,音韻単位でまとめられていく。その単位の末端が分節素で,そしてモーラ,音節,フット,プロソディックワードが各単位を構成し最終的には文ということになる。プロソディックワードの構成要素である各単位で,言語の普遍性に基づいた音韻制約や規則が展開され,経済性や忠実性等に根差した分節素のまとまりの発音が一体化し,プロソデックな側面が形成される。具体例としてアクセントやイントネーションの高低や強弱や長短の変化が設定される。形態素や語同士の連結で,アクセントの位置や連結部の発音が決定される。また分節素の環境からの関連で,同化や弱化が生じる。英語と日本語ではその音節構造とリズムの類型が違い,そのプロソディックな様相が全く異なる。もし言語障害の要因が発話産出過程のある個所の弱点だとすると,要因が同一であっても言語間でその症状が異なって表出する。
著者
大平 明彦
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.47-51, 2015-03-25 (Released:2015-05-25)
参考文献数
4

モノビジョン法に基づく屈折矯正眼鏡の,後天性の両眼複視に対する軽減効果について報告する.眼筋麻痺による複視に悩む3名の高齢患者にモノビジョン眼鏡を処方した.これらの患者は斜視手術あるいはプリズム眼鏡の適応のない症例であった.眼鏡の屈折度数は,優位眼は遠方視に合わせ,非優位眼は近方視にあわせた.3患者とも眼鏡による複視の軽減を明瞭に自覚できた.1名は外出時には常用したが,2名は随時使用にとどまった.モノビジョン眼鏡は,複視を改善する他の方法では満足できなかった患者には試みられてもよい方法と考えている.