著者
藤原 弘 岩根 正昭
出版者
Japanese Society of Agricultural, Biological and Environmental Engineers and Scientists
雑誌
生物環境調節 (ISSN:05824087)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.15-18, 1968-08-31 (Released:2010-06-22)
参考文献数
5

著者らは, 動物の加速度の耐久限界を求めるため, 被験動物には, イヌ40頭, ウサギ50羽, モルモット60匹, ラット150匹, ハムスター50匹およびカエル8匹を用いた.加速度の種類は, 頭から足の方向に作用する+Gzと, 足から頭の方向に作用する-Gz, および体軸に直角に作用する横軸のGxの3種である.イヌは+10Gx, ウサギ, モルモットおよびラットは+15Gz, -5Gz, 15Gxおよびカエルは+15Gz, -15Gzである.これらの負荷からそれぞれの動物が全例死亡するまでの時間, 半数例死亡するまでの時間, および全例が生命保続できる安全域時間を検討した.結果はつぎのとおりである.(1) イヌに+10Gzを負荷した場合, 100%死亡する時間は8~11分で, 50%生存には3~5分, 安全域は1分以内である.(2) ウサギに+15Gzを負荷した場合, 100%死亡する時間は7~9分で, 50%生存には5~7分, 安全域は2分以内である.また, -5Gzの場合, 全例死亡10~13分, 50%生存5~7分, 安全域2分以内で, 15Gxの場合は, +Gz, -Gz負荷より延長し, 100%死亡には13~15分, 50%生存には8~11分, 安全域6分以内である.(3) モルモットに+15Gzを負荷した場合, 100%死亡する時間は17~20分, 50%生存には13~15分, 安全域は2分以内である.-5Gzの場合, 100%死亡20~23分, 50%生存には5~8分, 安全域3分以内で, 15Gxの場合, 100%死亡21~25分, 50%生存には9~11分, 安全域6分以内である.(4) ラットに+15Gzを負荷した場合, 100%死亡する時間は14~18分, 50%生存9~11分, 安全域は0.5分である.また, -5Gzの場合, 100%死亡15~20分, 50%生存には1~3分, 安全域0.5分で, 15Gxの場合, 100%死亡する時間21~25分, 50%生存する時間13~15分および安全域5.5~6.5分でモルモットとほぼ同様である.(5) ハムスターに+15Gz, -10Gzおよび15Gxを負荷した場合, ウサギ, モルモット, ラットに比べて耐久時間が著しく延長し, いずれの負荷にも強い.(6) カエルに+15Gz, -15Gzを負荷しても耐性が高く, 1時間負荷においても全例死亡しない.また, カエルは哺乳類に比べて著しく耐久度が高い.
著者
岩根 正昭 藤原 弘
出版者
Japanese Society of Agricultural, Biological and Environmental Engineers and Scientists
雑誌
生物環境調節 (ISSN:05824087)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.19-28, 1968-08-31 (Released:2010-06-22)
参考文献数
6

健康成熟のラット100匹, ウサギ15羽, モルモット16匹, ハムスター18匹については, +15Gzおよびtransverse15G (Gx) の負荷を10分間ほどこし, ハムスターには-10Gz10分間, イヌには+10Gz10分間, およびラット, ウサギ, モルモットにはそれぞれ-5Gz10分間負荷したときの心拍数変化を検討した.結果はつぎのとおりである.1) イヌに+10Gz10分間負荷した際の心拍数の変化: G増加にともない7G付近までは心拍数の増加傾向があるが, 以後10Gまでは減少を来たし, 10G滞留中は, さらに減少を来たし, 一過性の増加, その後減少が5分時までみられるが, 以後ゆるやかに減少, 徐脈となって死亡する.2) ラット生存群における+15Gzにおける心拍数変化: 生存群においては, Gの増加にともなって変化することなく, 心拍数は滞留負荷時にやや減少するが著しい徐脈とはならない.3) ラット♂死亡群における+15Gzにおける心拍数変化: Gの増加にともないゆるやかに心拍数は増加し, 滞留負荷開始後は, すみやかに徐脈となって死亡する.4) ハムスターに+15Gzを負荷した際の心拍数の変化: G増加にともない, わずかに心拍数の増加が続くが滞留負荷後は急速に減少を示す.8分時以後一時回復様: 相を示し, ある程度の増加を来たし死亡しない.5) モルモットに+15Gzを負荷した際の心拍数変化: G増加にともない多少心拍数の増加が見られるが15Gまでは元値と変わらず, 滞留負荷に至って著しく減少後, 死亡する.6) ウサギに+15Gzを負荷した際の心拍数変化: G増加にともない, 6G付近まで心拍数の増加を来たし, 以後ゆるやかに減少が続き, 滞留負荷中も漸次徐脈になり死亡する.7) ラット, ウサギ, モルモットに-5Gz, ハムスター, ラットに-10Gzを負荷した際の心拍数変化: -G負荷の場合はG増加にともなってはじめから心拍数の減少が著しく, 滞留負荷中一時動揺するが, 徐脈になって死亡する.8) ラット, ハムスター, モルモットおよびウサギにtransverse15G (Gx) を負荷t, た際の心拍数の変化: Gの増加にともない多少心拍数の増加が起こるが, 滞留負荷中はラット, ハムスターにおいて徐脈にはならない.モルモットの場合は滞留負荷中に急速の徐脈となって死亡する.ウサギの場合は滞留中に一時増加をともない, その後徐脈に移行する.