著者
田原 英一 村井 政史 犬塚 央 岩永 淳 大竹 実 土倉 潤一郎 矢野 博美 木村 豪雄 三潴 忠道
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.718-721, 2011 (Released:2012-03-21)
参考文献数
4

小半夏加茯苓湯を後鼻漏の15症例に対して投与した。有効10例,無効5例の,自覚症状,他覚所見を検討した。全例で嘔気は認めなかった。有効例では鼻汁の性状が水様で,振水音を聴取したものを多く認めた。鼻汁が粘調で,振水音を認めなかった症例は無効であった。小半夏加茯苓湯は明らかな嘔気を伴わなくても,鼻汁が水様であり,振水音を聴取する後鼻漏に試みてよい方剤と考えられる。
著者
田原 英一 犬塚 央 岩永 淳 村井 政史 大竹 実 土倉 潤一郎 矢野 博美 木村 豪雄 三潴 忠道
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.660-663, 2011 (Released:2011-12-27)
参考文献数
10
被引用文献数
1 4

芍薬甘草湯が無効で,疎経活血湯が奏効したこむら返りの4例を経験した。症例1は73歳,男性。以前からあったこむら返りが1ヵ月くらい前から増強し,当科を初診。芍薬甘草湯7.5g/日を投与したが不変のため,疎経活血湯7.5g/日に変更したところ,速やかに軽減した。症例2は67歳女性。肩こり,腰痛などで通院中。夜間にこむら返りが出現するようになり,芍薬甘草湯7.5g/日を投与したが不変。疎経活血湯2.5g/眠前投与に変更したところ,こむら返りは速やかに軽減した。症例3は66歳女性。腰痛にて当科治療中。こむら返りが出現したため,芍薬甘草附子湯3.0g/日を投与したが,効果が少なく,疎経活血湯7.5g/日に変更したところ,速やかに消失した。症例4は75歳男性。左の下肢冷感で加療中。こむら返りが出現したため,芍薬甘草附子湯1.5g/日投与したが,変化は一時的で,疎経活血湯2.5g/日に変更したところ,速やかに消失した。血流を改善し,鎮痛効果の期待できる疎経活血湯は,芍薬甘草湯無効のこむら返りに試みられてよい方剤と考えられる。
著者
田原 英一 犬塚 央 岩永 淳 村井 政史 大竹 実 土倉 潤一郎 矢野 博美 木村 豪雄 三潴 忠道
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.589-592, 2011 (Released:2011-10-21)
参考文献数
8
被引用文献数
1

大柴胡湯が奏効した嘔吐の2症例を経験した。症例1は16歳女性。肺炎で入院中に嘔吐が出現。嘔吐,胸脇苦満などを参考に大柴胡湯を投与したところ,嘔吐は速やかに消失した。症例2は73歳女性。嚥下性肺炎の後,嘔気,嘔吐が出現。嘔吐に対し,胸脇苦満と便秘傾向を目標に大柴胡湯を投与したところ,徐々に消失した。古典条文の上で大量の生姜を含む大柴胡湯は,強力に嘔気を鎮めると考えられる。
著者
村井 政史 矢野 博美 大竹 実 岩永 淳 犬塚 央 貝沼 茂三郎 田原 英一 三潴 忠道
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 = Japanese journal of oriental medicine (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.906-911, 2010-11-20
参考文献数
24

通脈四逆湯の附子を烏頭に変更し奏効した2例を報告した。1例目は33歳の女性。皮疹および瘙痒感を認め,通脈四逆湯を投与し白河附子を14gまで漸増したが改善しなかった。そこで冷えが極めて強いために,通脈四逆湯の白河附子を烏頭に変更したところ,皮疹および瘙痒感が改善した。2例目は42歳の男性。泥状便および全身倦怠感を認め,通脈四逆湯を投与し炮附子を10gまで漸増したが改善しなかった。そこで冷えが極めて強いために,通脈四逆湯の炮附子を烏頭に変更したところ,普通便となり全身倦怠感が改善した。附子を用いた通脈四逆湯では改善しない寒の強い病態においては,附子を烏頭に変更すると有効な場合がある。
著者
大田 静香 前田 ひろみ 伊藤 ゆい 上田 晃三 吉村 彰人 土倉 潤一郎 岩永 淳 矢野 博美 犬塚 央 田原 英一
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.23-27, 2014 (Released:2014-07-22)
参考文献数
17

症例は68歳女性,当科受診の1年前に環状肉芽腫症を発症し,トラニラストで改善傾向にあった。しかし肝障害が出現し継続困難となり,皮疹が悪化したため漢方治療を試みることとなった。のぼせ,舌,皮疹の性状から熱候が示唆され,黄連解毒湯を開始し,改善傾向にあったが,入院3日目から治癒が横ばいになった。裏寒の存在を疑い,麻黄附子細辛湯の併用を開始したところ,開始5日目から急速に肉芽の縮小を認めた。臨床的に改善を認めたことより,陽証と陰証の併存があったと考える。