著者
四宮 弘隆 岩江 信法 平山 裕次 小松 弘和
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.207-210, 2011-02-28 (Released:2011-03-18)
参考文献数
10

鼻に発生した痛風結節の1例を経験したので報告する。症例は53歳男性。鼻根部に徐々に増大する3cm大の腫瘤を認め,局所麻酔下に摘出術を施行した。摘出標本中に針状結晶とその周囲の異物炎が認められ,痛風結節と同様の病理組織所見であった。痛風結節は一般に急性関節炎の起きやすい足,膝,手指,肘関節に好発し,頭頸部領域では耳介にしばしば認められる。その他にも顎関節,胸鎖関節,脊椎,眼瞼,鼻,舌,喉頭,声帯などにまれに見出され,時には他の良・悪性腫瘍との鑑別診断に苦慮することもある。長期罹患中の高尿酸血症患者では,頭頸部腫瘤の鑑別診断として痛風結節を念頭に入れておく必要があるものと考えられた。
著者
岩江 信法 平山 裕次 四宮 弘隆 手島 直則 古川 竜也
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.99-102, 2012 (Released:2012-09-20)
参考文献数
6
被引用文献数
1

近年の頸部郭清術においては,胸鎖乳突筋や副神経を温存する保存的で機能的な郭清が普及してきている。今回われわれは胸鎖乳突筋背側面の副神経穿通部位を,レベルII,III,IVを含む郭清を施行した症例46例65側を対象として頸部郭清術中に観察した。穿通部位は胸鎖乳突筋の胸骨部背側0側(0%),胸骨部鎖骨部境界域4側(6.2%),鎖骨部筋体49側(75.3%),鎖骨部後縁付近12側(18.5%)であった。胸骨部の背側から副神経が穿通している症例はなく,鎖骨部前縁までの胸骨部背側面については頸部郭清時に副神経に特に留意する必要なく剥離操作が可能であると考えられた。