著者
岩渕 雅明
出版者
JAPAN MACRO-ENGINEERS SOCIETY
雑誌
MACRO REVIEW (ISSN:09150560)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.22-26, 1988-09-20 (Released:2009-08-07)
参考文献数
4

今年は国立防災技術センター(NRCDP)が「気象調節に関する研究」の一環として,消滅ロケットを使った積乱雲の人工調節プロジェクトを開始して20年目に当たる。その概要をメーカー側からみた,消滅ロケットと散布システムの開発の経過について述べる。 そして現在使われている沃化銀散布用コンポジットの氷晶核発生効率が,まだ当時と変わらず,AgI/gから1016個発生するに止まっている。 理論値2.6×1021個に比べれば,まだ26万分の1にすぎない。しかしそれでも,米,ソ,仏等は多大の成果を上げつつあるのである。 日本としては,古くて新しいこの技術を,この点からブレークスルーして,今までのものより少なくとも数千倍の効率でcloud-seedingできる核発生システムを開発することは,地球環境の制御に必要な,“Atmospheric Sciences”の理論面の進展にも必要なだけでなく,大いなる経済効果も期待できよう。