著者
岩澤 由子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.449-456, 2016-10-01 (Released:2016-10-01)
参考文献数
9

近年,医療ビッグデータの利活用が期待されているが,看護に関するデータ収集の取り組みは始まったばかりである。日本看護協会では労働環境の整備と看護の質向上を目指し,2012年度より「労働と看護の質向上のためのデータベース(Database for improvement of Nursing Quality and Labor:DiNQL,ディンクル)事業」に取り組んでいる。本事業は看護の質と労働環境のベンチマーク評価を通じて,看護管理者のデータマネジメントを支援するもので,2016年度は583病院4,964病棟が参加している。看護に関するデータが,月単位かつ病棟単位で組織横断的に集約されているデータベースとしては国内最大規模である。本稿では,本事業の背景を概観したうえで,本事業の取り組みと意義を紹介し,最後に課題と今後の展望を示す。