著者
岩瀨 和恵
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.115-123, 2018 (Released:2018-11-13)
参考文献数
13

目的:介護老人福祉施設に勤務する看護師が高齢者の死の約1か月前に察知した症状や変化を明らかにすることを目的とした.方法:Miles, Huberman, and Saldañaの分析方法を参考にし,20名の看護師に半構造化面接法を用いてインタビューを行った.同意が得られた施設では同行観察を行った.結果:20名全員が約1か月前に,高齢者の死を察知した経験を持っていた.その症状や変化は,【高齢者が訴える死の恐怖】,【意欲の減弱】,【食事摂取機能の低下】,【形相の変化】,【眼の変化】,【声の変容】,【他覚症状の出現】,【活動性の低下】,【体重減少】が抽出された.これらは,さらに上位の概念である主要カテゴリー『精神心理面の変化』と『身体機能面の変化』に大別された.結論:看護師は約1か月前に高齢者の死を症状や変化で察知していた.必ずしもすべての症状や変化が1人の高齢者に出現するわけではないが,看護師が高齢者の死を察知し,十分な時間の中で看取りを行えることが示唆された.