著者
岩花 春美
出版者
日本教育方法学会
雑誌
教育方法学研究 (ISSN:03859746)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.109-119, 2011-03-31 (Released:2017-04-22)

この論文の目的は,木下竹次の教育理論における木下の「学習法」の構造を明らかにすることである。木下の学習理論は,大正デモクラシー時代に形成され,彼の理論は児童中心主義教育を遂行するための日本の進歩主義に強く支えられていた。また,木下の学習論は,ジョン・デューイの教育目的論の影響を受けていると考えられる。しかし,木下の理論は,「禅」や「武士道」に含蓄されている日本的・東洋的な精神を保持していたのである。木下の「学習法」の教育的理論は1923年〜1927年に「自由」と「協同」の概念が「自律」と「協同」へと変容している。しかし,その当時にデューイの民主主義的な思想が根付くことは,困難であったのである。この論文は5つの部分から成っている。はじめに,1,独自学習にみる「自律」と日本文化2,相互学習にみる「協同」と民主主義3,木下竹次の『伸びて行く』とJ.デューイの探究の理論,おわりに。