著者
岩間 俊太
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
no.70, pp.53-58, 2019-12

2017年6~8月,青森県つがる市のメロン栽培圃場1か所および五所川原市のキュウリ栽培圃場1か所において,根部の飴色~黒変腐敗を伴う萎凋・立ち枯れ症状の発生が確認された。被害株の根部の表皮内には直径0.1mm程度で黒色の微小菌核が多数形成されている場合もあれば変色腐敗のみの場合もあり,後者では室温で湿室状態に1週間程度保つことで微小菌核の形成が観察された。定法により病原菌を分離し,形態および生育温度特性を明らかにするとともに,培養した病原の土壌混和によるメロンおよびキュウリ苗への接種を行った。その結果,両作物に発生した症状は,Macrophomina phaseolinaによるメロンおよびキュウリ炭腐病であることが判明した。これらの病害は2001年に岡山県で国内初確認されているが,青森県での発生確認は本事例が初めてである。
著者
岩間 俊太 倉内 賢一 門田 育生
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.65, pp.85-92, 2014

<p>副産石灰肥料として肥料登録されている転炉スラグ(商品名「てんろ石灰」)を用いて土壌pH を7.5 程度に矯正することで,レタス根腐病の被害軽減が可能かを接種試験により検討した.また,土壌pH 矯正とレタス品種の耐病性を併用した場合の被害軽減効果を圃場試験により検討した.接種試験では,土壌フスマ培養により得られた汚染源を園芸培土と混合して人工汚染土を作成し,人工汚染土のpH 矯正後にセルトレイに播種し育苗した場合と育苗株をポットに移植し栽培した場合とで,発病程度の比較を前者では地上部について,後者では地上部と地下部について行った.その結果,いずれもpH6.6 程度の未矯正の場合と比較し,pH7.5 程度に矯正することで発病程度が低下した.圃場試験では,本病菌レース1 による被害が確認された現地農家圃場で2012 年と2013 年に春作試験と秋作試験を行った.同一圃場内にpH 矯正区(pH7.5 程度)とpH 未矯正区(pH6.0 程度)を設置して耐病性の程度の異なる品種を栽培し,地上部と地下部の発病程度を比較した.その結果,土壌pH 矯正と比較的耐病性の高い品種とを併用することで,それぞれの単用の場合よりも発病程度が低下する傾向にあり,被害軽減効果が向上した.</p>