著者
森 哲也 岸野 かなえ 田原 麻衣子 守山 隆敏 和田 真太郎 伊藤 武
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.129-132, 2021-08-25 (Released:2021-09-01)
参考文献数
13

3MTM病原菌検出アッセイ2 STEC遺伝子スクリーニン-stx用キットを,食品からの腸管出血性大腸菌検査におけるVT遺伝子スクリーニングに使用することを目的に,検出感度を調べた.純培養菌での検出感度,食品として牛スライス肉やタンドリーペースト,きゅうりなどを供試して食品培養液を調製し検出感度を調べた.食品培養液中の検出感度は,BPW,mEC培地ともに3から4 Log CFU/mLレベルであった.3MTM病原菌自動検出システムを用いたVT遺伝子検出は,通知法が要求する検出下限値(4 Log CFU/mL)を満たしていた.本手法は食品からの迅速簡便なVT遺伝子スクリーニング法として有用であった.
著者
森 哲也 佐藤(長尾) 清香 岸野 かなえ 難波 豊彦 工藤 由起子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.183-186, 2019-12-25 (Released:2020-01-23)
参考文献数
10
被引用文献数
1

迅速かつ安価なDNA抽出法であるアルカリ熱DNA抽出法を食品中の腸管出血性大腸菌の検出のためのリアルタイムPCRにおいて評価した.牛レバー,牛ひき肉,豚スライス肉,チーズ,レタス,カイワレ大根,トマトおよびホウレンソウでのstx遺伝子とO抗原遺伝子検出において,アルカリ熱DNA抽出物は高感度の検出(102~104 CFU/mL)を示し,これはプロティナーゼK溶菌とシリカメンブレンによる精製工程を含む市販DNA抽出キットと同等の検出感度であった.アルカリ熱抽出とキットでのDNA濃度と純度には違いがあったが,リアルタイムPCRの感度は同様であった.これらの結果から,アルカリ熱DNA抽出法は,リアルタイムPCRでの食品分析にとって有用な方法であることが示された.