- 著者
-
島尾 忠男
- 出版者
- JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
- 雑誌
- 結核 (ISSN:00229776)
- 巻号頁・発行日
- vol.77, no.1, pp.3-9, 2002-01-15
- 被引用文献数
-
3
結核病床は, 昭和20年代にはまず自然療法の場, 次いで外科療法を含む積極的な治療の場として積極的に整備が進められ, 昭和33年には26万床強に達した。その後は, 対策の推進による結核患者数の急速な減少の影響を受け, 病床数が削減されてきたが, 治療の進歩による治療期間短縮の影響を受け, 入院期間も短縮されたため, 一部の地域を除いて空床が目立つようになってきている。結核病床の問題点としては, 近代化が行われず, 病棟単位で運営されてきたため, 整理統合が進むと, かなり離れた施設への入院を余儀なくされ, 病院職員に対する感染防止の配慮もされていない点が指摘される。<BR>今後の結核病床のあり方としては, 運営を病棟単位から病室単位に切り替え, 一般病院内にも隔離できる換気設備を持った急性期用結核病室を整備し, 都道府県内に適切に配置し, 従来の国立療養所には慢性化した患者のための病床も残す。新たに発見された患者に対する入院期間を短縮し, 入院中から確実な服薬を行う指導を始め, 外来治療に円滑なバトンタッチを行う。換気設備を持つ急性期用病室の整備に補助を行い, 急性期の診療に対しては適切な医療費を設定するべきである。