著者
田島 知郎 石井 明子 石津 和洋 葉梨 智子 近藤 泰理
出版者
特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会
雑誌
日本乳癌検診学会誌 (ISSN:09180729)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.105-112, 2007-03-30 (Released:2008-07-25)
参考文献数
25

ロシアと中国での大規模臨床試験で, 乳房自己検査 (BSE) が無効と結論されたとの理解が広がり, わが国でも戸惑いが続いている。乳癌死リスク低下効果が検証できなかったとされる両研究であるが, BSE発見乳癌はコントロール群よりも早期の傾向で, また指摘すべき問題点が他にもある。まずBSE発見乳癌のサイズであるが, ロシアの研究ではT1以下がわずかであったのに対し, 中国の研究では48.8%で, この両方を一括解釈して, わが国に持ち込むことには疑問がある。また中国の研究では, BSE群とコントロール群との間に背景因子の違い, あるいは試験介入による健康状態への影響による総死亡数の差が約10%もあり, 両群比較の妥当性が問われる。さらに両研究の著者はマンモグラフィの優位性, BSE推奨だけで済まない医療側の責任, BSE普及と精検の費用などの問題も提起しており, 結果的にもBSE自体というよりも乳癌検診のあり方やBSE教示法の方が研究の主な目的であったとも言えよう。これまでの多数の非無作為試験の結果からも, BSE発見乳癌は早期の傾向で, 確実な技法の実践による予後改善が期待される。わが国には視触診, マンモグラフィ, 超音波を検診対象の全女性に, 質を保証して提供できるだけの設備, 専門医, 専門技師がまだ不足している一方で, BSEのメリットを最大限に生かせる素地があり, 乳癌啓発の入り口であり, 他の検査を補完する役割も果たすBSEを手放せない。
著者
小林 哲 村山 一茂 太田 悠葵 川崎 ナナ 豊島 聰 石井 明子
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.63-76, 2017-03-31 (Released:2017-05-25)
参考文献数
23
被引用文献数
2

日本で承認されている免疫調節作用を有する抗体医薬品 12 品目について,報告数の多い有害事象の基本語 (Preferred Term;PT)を特定するため,2015 年時点で医薬品医療機器総合機構が公開していた医薬品副作用データベースに集積されていた症例を解析した.その結果,報告数の多い PT として,肺炎,間質性肺疾患,ニューモシスチス・イロベチイ肺炎 (Pneumocystis jiroveci pneumonia;ニューモシスチス肺炎),蜂巣炎,敗血症,および帯状疱疹等を特定した.これらの PT について,特に日本で 5 種類の製品が承認されている抗 TNF 薬 (infliximab,adalimumab,golimumab,certolizumab pegol およびetanercept) をはじめとした関節リウマチ治療薬に着目し,医薬品ごとに各 PT の発現頻度と初回発現時期を解析・比較した.ここでは,シグナル検出指標の報告オッズ比 (reporting odds ratio;ROR) を発現頻度の指標として用いた.また,初回発現時期の対照薬としては,抗 TNF 薬とは標的が異なる関節リウマチ治療薬で,症例の報告数も比較的多い抗インターロイキン-6 受容体抗体の tocilizumab を選択した.その結果,肺炎と間質性肺疾患,および敗血症については,ROR と初回発現時期の解析からは特定の関節リウマチ治療薬との関連を示唆する結果は得られなかった.一方,ニューモシスチス肺炎については,特に infliximab で高い ROR が得られた.Infliximab ではニューモシスチス肺炎の初回発現時期も他の医薬品より早い傾向にあり (0.19 yr),tocilizumab (0.32 yr)を対照として Mann-Whitney 検定を行うと,有意水準 1%で有意差が認められた.Infliximab はニューモシスチス肺炎の ROR が高いだけでなく,初回発現時期も特徴的であることから,ニューモシスチス肺炎との間に他よりも強い関連が示唆された.同様なことが,蜂巣炎とtocilizumab,帯状疱疹と certolizumab pegol についても観察され,感染症に関する一部のPT は,特定のバイオ医薬品に強く関連する可能性が示唆された.肺疾患や皮膚疾患を持つ患者等については,抗 TNF 薬を使用する際に,これらの感染症が生じやすい可能性に配慮する必要があると考えられた.
著者
石井 明子
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第43回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.S11-1, 2016 (Released:2016-08-08)

バイオ医薬品(組換えタンパク質医薬品)は,目的物質を発現する組換え細胞の培養,及び,細胞あるいは細胞培養上清からの目的物質の精製工程を経て,製造される.バイオ医薬品原薬の構成要素には,目的物質,目的物質関連物質の他,目的物質由来不純物,製造工程由来不純物が含まれる.目的物質由来不純物は,目的物質の分子変化体(前駆体,製造中や保存中に生成する分解物,凝集体,アミノ酸配列変異体等)で,生物活性,有効性及び安全性の点で目的物質に匹敵する特性を持たないものである.製造工程由来不純物には,細胞基材に由来するもの(宿主細胞由来タンパク質,DNA等),細胞培養液に由来するもの,あるいは細胞培養以降の工程である目的物質の抽出,分離,加工,精製工程に由来するもの(試薬・試液類,クロマトグラフ用担体からの漏出物等)がある.これらの不純物の評価・管理については,ICH Q6Bガイドラインに基本的な考え方が示されているが,具体的な許容値や管理値は示されていない.バイオ医薬品開発に際して,中間体,原薬,あるいは製剤を対象とした特性解析により,各種不純物の存在と残存量が明らかにされ,製剤中の不純物含量が安全性に影響のない値以下に管理できるよう,原材料の管理,工程パラメータ管理,工程内試験,規格及び試験方法等からなる品質管理戦略が構築される.不純物の管理値については,最終的には,臨床試験に用いたロットにおける不純物含量等をもとに決定されている.不純物の安全性への影響は,製剤の投与経路等によっても異なる場合があるので,各製品の意図した用途に応じた品質管理戦略が必要である.本講演では,バイオ医薬品に含まれる各不純物の特徴,不純物が問題となった事例,及び,不純物管理戦略の概要を述べ,不純物に焦点をあてたバイオ医薬品品質管理の現状と課題を考察したい.
著者
石井 明
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
人文科学 (ISSN:09117210)
巻号頁・発行日
no.25, pp.225-270, 2010

1. 今日のヴィオラ・ダ・ガンバと本稿の目的2. 20世紀初期から1970年代以前におけるヴィオラ・ダ・ガンバ3. 1970年代におけるヴィオラ・ダ・ガンバの製作状況4. 1980年代,過去に存在した楽器製作方法の再発見とその実践The viola da gamba was a popular musical instrument in Europe between the sixteenth and eighteenth centuries. There were numerous types and sizes of the instrument, all affectionately played and enjoyed particularly by non-professionals like the aristocrats and bourgeois. The popularity of the viols, however, sharply declined towards the eighteenth century, especially at the dawn of the French Revolution. The revival of the viola da gamba became one of the essential elements in the Early Music movements of the early twentieth century. Many string instrument builders began attempting to manufacture viols, especially after the Second World War. By then, however, the tradition of the viola da gamba building had been entirely disappeared. The modern viola da gamba builders first imitated and adopted the technique used by the violin building. They eventually learned that the viol making is an entirely different matter from building violins or cellos. Today, various and numerous pieces of information on historical instrument making became available, and the viola da gamba builders of the twenty-first century finally began producing a true (truer) copy of the viols. At the same time, however, the modern viol builders now face another problem. The builders of the historical instruments today need to re-evaluate the aim and purpose of the viol making. Should they keep searching the true essence of the viol making of the past, or should they regard the viola da gamba as an instrument of the modern times as well as an artistic output of modern instrument builders? To find an answer to this question, this article looks at the history of the modern viol making and compares the modern Early Music instrument building with the modern Early Musi performances.
著者
石井 明男 長岡 耕平 永平 晃造
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第31回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.133, 2020 (Released:2020-11-30)

昭和10年に始まった, し尿の海洋投棄は平成11年に廃止された。廃止までの経緯を報告する。
著者
柴田 寛子 野村 祐介 河上 強志 山本 栄一 安藤 大介 内山 奈穂子 徳本 廣子 小出 達夫 迫田 秀行 吉田 寛幸 阿部 康弘 袴塚 高志 五十嵐 良明 蓜島 由二 石井 明子 伊豆津 健一 本間 正充 合田 幸広
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.142, no.8, pp.867-874, 2022-08-01 (Released:2022-08-01)
参考文献数
5
被引用文献数
1

Particular batches of Moderna mRNA Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) vaccine were recalled after foreign particles were found in some vaccine vials at the vaccination site in Japan in August 2021. We investigated the foreign particles at the request of the Ministry of Health, Labour and Welfare. Energy dispersive X-ray spectroscopy analysis suggested that the foreign particles found in the vials recalled from the vaccination sites were from stainless steel SUS 316L, which was in line with the findings of the root cause investigation by the manufacturer. The sizes of the observed particles ranged from <50 μm to 548 μm in the major axis. Similar foreign particles were also detected in 2 of the 5 vaccine vials of the same lot stored by the manufacturer, indicating that the foreign particles have already been administered to some people via vaccine. Observation of the vials of the same lot by digital microscope found smaller particles those were not detected by visual inspection, suggesting that more vials were affected. Contrarily, visual inspection and subvisible particulate matter test indicated no foreign particles in the vials of normal lots. Possible root cause and strategies to prevent such a deviation were discussed from technical and regulatory aspects.
著者
石井 明子 鈴木 琢雄 多田 稔 川西 徹 山口 照英 川崎 ナナ
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.136, no.5, pp.280-284, 2010 (Released:2010-11-10)
参考文献数
45
被引用文献数
2 2

腫瘍や自己免疫疾患等の治療を目的とした分子標的薬として,抗体医薬品の研究開発が国内外で活発に行われている.抗体医薬品の特徴は標的分子に高い親和性をもって極めて特異的に結合することであるが,他のバイオ医薬品と比較して血中半減期が長いことも特筆すべき点である.ペプチドあるいはタンパク質を医薬品として応用する場合には血中半減期が実用化のためのハードルとなることが少なくない.しかし,多くの抗体医薬品は,生体内IgGの分解抑制に関わるneonatal Fc receptor(FcRn)を介したリサイクリング機構を利用することができるため,数日~数週間という長い血中半減期を有している.FcRnは齧歯類の新生児小腸に高発現し,乳汁に含まれる母親由来IgGの吸収に関与する受容体として同定された.その後の研究により,FcRnが成体においても種々の組織に発現し,IgGのリサイクリングやトランスサイトーシス等に関与していることが報告され,母子免疫以外にも様々な側面でIgGの体内動態制御に関わっていることが明らかにされている.我々は,既承認抗体医薬品のFcRn結合親和性を解析し,ヒトでの血中半減期とFcRn結合親和性の相関,および抗体医薬品のFcRn結合親和性を規定する構造特性の一端を明らかにした.近年の創薬研究では,FcRn結合親和性を改変した抗体医薬品等の開発が進んでいる他,FcRnのもう1つのリガンドであるアルブミンを利用することにより体内動態特性を改変したタンパク質医薬品の開発も進んでいる.FcRnは,抗体医薬品をはじめとするバイオ医薬品の体内動態制御に関わる鍵分子の1つと言えるであろう.
著者
仁木 國雄 冨澤 一郎 金子 克己 石井 明
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

雪の融点近くで、短いモデル・スキー(長さ20cm)を用い、遅い滑走速度(0.001~1m/s)における摩擦係数を斜面滑走法およびトライボメータ法を用いておこなった。その結果、摩擦係数(μ)が、滑走速度と雪の温度に依存することが解った。そして、-10℃程度の低温で、速度が極めて遅い場合に最も小さなμ値を示す事を見出した。今回の実験結果で最も注目すべき点は、モデル・スキーの低速度における摩擦係数の温度依存性が、高速度で滑る実際のスキーの温度依存性と反対になった点である。また、モデル・スキーの摩擦係数に荷重依存性が測定されなかったことから、低温、低速度における小さな摩擦係数は摩擦融解による解け水の潤滑摩擦では無いと考えられる。すなわち、低温では凝着力が小さくなるために良く滑ると考えられる。
著者
石井 明
出版者
上武大学
雑誌
上武大学ビジネス情報学部紀要 (ISSN:13476653)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-33, 2013-08-31

本論文は、鉄道設備証券に関する代表的な文献に依拠し、まずフィラデルフィア方式といわれた車両設備信託リースに係る歴史、法制度、およびスキームの発展や整備の経緯を論じる。次いで、本論文では、すでに19世紀における設備信託リースにその源流があったことをRawle[1885]や19世紀後半期の最高裁判例などを用いて論じる。具体的には、アメリカの19世紀後半期から20世紀前半(1920年代まで)にかけての鉄道会社に係る会計慣行、並びに政府機関であった州際商業委員会(ICC)が規定した会計原則および鉄道会社の財務諸表を検討して、アメリカの同時期にかけての車両設備信託リースにおける、法形式ではなくて「実質」、すなわち、信託に関する取引のその便益者(鉄道会社)の財務諸表への計上、およびリースという契約書の名称に依拠するのではなく、取引全体としての経済目的に基づいて割賦販売として会計処理を行うとする基本的思考について考察を試み、さらにICCの会計処理ルールに対するDuncan[1924]の提唱した実質論―組織再編における財産管理、車両設備信託の債権回収の経済実績―および会計処理方法の分析を試みる。
著者
仁木 國雄 冨澤 一郎 金子 克己 斎藤 悟 阿部 修 香川 博之 石井 明
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

スキーの材料開発やワックスの使い方、スキー技術の理解に科学的裏付けを与える目的で、基礎科学的見地からスキー滑走原理を研究した。そのために、短いモデルスキーを用いて、静摩擦係数、低速度の動摩擦係数について、雪粒子の大きさ、雪表面の硬さなどの雪の条件をコントロールして温度依存性、速度依存性を厳密に測定した。その結果、実際のアルペンスキーよりは遅い滑走速度に関してではあるが、摩擦現象が、雪表面の擬似液体層を考慮した凝着力の温度依存性およびそれとは逆の温度依存性を示す雪のせん断応力により矛盾無く説明できる事が分かった。また、低速度でも実際のスキーやスケートで測定されている様な低い摩擦係数が実現するので、摩擦熱による融け水の生成などのような、良く滑るメカニズムを考える必要は無いことが明らかとなった。

2 0 0 0 類上皮肉腫

著者
石井 明子 中山 秀夫 池上 博泰 森永 正二郎
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.734-739, 1994
被引用文献数
1

30歳のロシア人男性の類上皮肉腫を逆行性橈骨動脈皮弁法にて治療した。8年前に左手関節屈側に潰瘍が出現し, 手術を4回受けたが再発を繰り返していた。病理組織学的に, 真皮内にエオジン好染の豊かな胞体を持ち, 核に異型性を示す腫瘍細胞が増殖し, 大部分が類円形で, 上皮様の胞巣を形成していた。電顕的には切れ込みの目立つ核と豊富な細胞質を持つ腫瘍細胞が多く, 胞体内に中間径フィラメントを認めた。免疫組織化学的にEMA, vimentin, keratinに対する抗体を用いた染色にて腫瘍細胞は陽性であった。本症の治療にあたっては, 発病初期の正確な病理診断と最初から十分な広範囲切除が必要と思われた。
著者
山本 勇次 坂野 晶司 石井 明 鈴木 千鶴子 池上 清子 溝田 勉 藤田 大輔
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学熱帯医学研究所共同研究報告集
巻号頁・発行日
vol.17, 2005

熱帯性疾患が頻発する地域は,概して経済的にも開発途上国がそのほとんどである。もっとも近年のSARSや鳥インフルエンザの流行が示すものは,ヒトやモノの移動が盛んになることにより経済先進国や地域も対象となり,例外ではないことが判明した。とりわけ,対策や予防を計画・実践する場合には,国境を越えた協力が必要であり,かつ行政や民間活動との連携が大切になる。従って,当課題の下では,途上国の現場に上記の観点から深く係わりをもった共同研究者が,それぞれ扱ったケースを紹介し合い,関係の密な社会環境要因を摘出し,検討かつ診断することを目的とした。
著者
石井 明
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
人文科学 (ISSN:09117210)
巻号頁・発行日
no.26, pp.1-56, 2011

The viola da gamba was a popular musical instrument in Europe between the sixteenth and eighteenth centuries. There were numerous types and sizes of the instrument, all affectionately played and enjoyed particularly by non-professionals like the aristocrats and bourgeois. The popularity of the viols, however, sharply declined towards the eighteenth century, especially at the dawn of the French Revolution.The revival of the viola da gamba became one of the essential elements in the Early Music movements of the early twentieth century. Many string instrument builders began attempting to manufacture viols, especially after the Second World War. By then, however, the tradition of the viola da gamba building had been entirely disappeared. The modern viola da gamba builders first imitated and adopted the technique used by the violin making. They eventually learned that the viol building is an entirely different matter from constructing violins or cellos. Today, various and numerous pieces of information on historical instrument making became available, and the viola da gamba builders of the twenty-first century finally began producing a true (truer) copy of the viols.At the same time, however, the modern viol builders now face another problem. The builders of the historical instruments today need to re-evaluate the aim and purpose of the viol making. Should they keep searching the true essence of the viol making of the past, or should they regard the viola da gamba as an instrument of the modern times as well as an artistic output of modern instrument builders? To find an answer to this question, this article looks at the history of the modern viol making and compares the modern Early Music instrument building with themodern Early Music performances.
著者
寺田 護 竹添 裕高 石井 明 記野 秀人 大野 民生 MOHAMED Abdu CHAN Boon T. NORHAYATI Mo NOOV HayatiM
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

3年間の研究期間において、不法移民についてはネゲリ・センビラン州レンゲンにある抑留キャンプ、合法移民についてはセランガ州にあるカレー島のヤシ油プランテーションで、それぞれ3回、計6回の調査を実施した。被験者数は総計で741名であり、その内訳は不法移民308名、合法移民221名、マレーシア人労働者212名であった。不法移民についてはインドネシアが157名と過半数を占め、以下3名のアフリカ人の他はすべてアジア諸国からの移民であった。合法移民はほとんどがインドネシア人であった。また、マレーシア人はマレー系、先住民、インド系に区別できた。全体として不法移民が他の群に比べ寄生虫感染率が高かったが、中でも病原性原虫および外部寄生虫の感染率が高く、主に衛生状態の悪さを反映する結果と思われた。合法移民については不顕性マラリアが多く見られたことが特徴であったが、追跡調査で調べられた4名の被験者はいずれも陰性であった。これは母国への一時帰国に伴って感染した典型的な輸入寄生虫症と考えられた。対照群ではそれぞれの民族性に由来する生活習慣の違いが寄生虫感染にも反映していると考えられた。不法移民では出身国や職業の違いが感染状況にも反映され、移民の寄生虫相を考える上では重要な指標であることが示唆された。全体を通してマレーシアには見られない輸入寄生虫症は見つからなかったが、移民の持ち込む寄生虫はマレーシアの寄生虫感染を一定のレベルに維持するような働きを持つことが考えられた。また、合法移民は自由に国内を行き来できることから、感染を広める上で大きな役割を果たす可能性が示唆された。入国時あるいは定期的な健康診断がこうした輸入寄生虫症の対策として重要であると考えられた。
著者
石井 明
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.963-966, 2018-12-05 (Released:2018-12-05)
参考文献数
6
被引用文献数
2 3
著者
青木 良子 佐井 君江 勝田 由紀子 鈴木 美佳 鈴木 康夫 石井 明子 斎藤 嘉朗
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.142, no.5, pp.547-560, 2022-05-01 (Released:2022-05-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1

Biosimilars are less expensive than their originators, and Japanese government policies call for their development and promotion. However, the adoption and prescription of some biosimilars, especially antibody/its-related ones, have been delayed for use in Japan, possibly due to concerns on the differences in quality attributes such as glycan structures between the originators and their biosimilars, and that clinical efficacy/safety studies are conducted for usually one disease and its results extrapolated to other indications. We conducted a questionnaire survey among physicians in four disease areas (hematology, medical oncology, rheumatoid arthritis, and inflammatory bowel disease), where biosimilars of antibody/its-related drugs have been approved, regarding their thoughts on the adoption and prescription of biosimilars in Japan from January to April 2020. We received totally 1024 responses. When adopting biosimilars and explaining them to patients, physicians requested specific information including the comparative results of phase III clinical trials and quality characteristics between biosimilars and their originators; the results of clinical studies on switching from originators to their biosimilars; and a comparison of the estimated cost on patients in consideration of the high medical cost payment system. Priority differed depending on the studied disease areas. In terms of post-marketing information, physicians requested a variety of information. When explaining biosimilars to the patients, physicians would like to use general material from government describing the comparability between originators and their biosimilars. These results suggest that physicians sought more comparative information on the quality, efficacy, and patients' cost between originators and their biosimilars when adopting or prescribing biosimilars.
著者
石井 明子 斎藤 嘉朗
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
日本臨床薬理学会学術総会抄録集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.3-S47-4, 2021

<p>感染症ワクチンの有効性の評価においては,免疫原性(immunogenicity),臨床試験での有効率(efficacy),実社会での有効率(effectiveness)が指標となり得るが,新型コロナウイルスワクチンの評価の考え方(令和2年9月2日PMDAワクチン等審査部)では,原則として臨床試験における発症予防効果を主要評価項目とすべきとの見解が示されている.一方で,海外で発症予防効果を主要評価項目とした大規模な検証的臨床試験が実施される場合には,日本人における免疫原性及び安全性を確認することを目的とした国内臨床試験を実施することで十分な場合がある(新型コロナワクチン審査報告書)とされ,これまでに本邦で特例承認された3種類の新型コロナワクチンでは,免疫原性及び安全性の確認を目的とした国内臨床試験が行われた.さらに,変異株ワクチンの有効性及び安全性評価における考え方が補遺1として示され(令和3年4月5日),既承認のワクチンを改良した変異株ワクチンの有効性については,中和抗体陽転率,及び中和抗体価の幾何平均値を主要評価項目とするとされている. </p><p>新型コロナワクチン国内臨床試験における免疫原性の評価では,Sタンパク質特異的抗体価,及びウイルスあるいはシュードウイルスを用いた中和抗体価が測定された.ここで得られる抗体価は用いる測定系に依存する値であるため,一つの臨床試験の中で群間の比較を行うことは可能であるが,異なる測定系で得られた値を比較することはできない.今後,国内で開発される新型コロナワクチンの臨床試験における有効性評価や,既存ワクチンの2回接種後の追加接種の必要性の検討,実社会における各自の免疫状態の調査等において,抗体価の標準化が重要な課題の一つとなる.2020年12月にWHOが最初の新型コロナウイルス抗体国際標準品を策定し,中和活性に関するIU(International Unit),及び結合活性に関するBAU(Binding Antibody Unit)が定められた.今後は,この国際標準品を基準に標準化が図られると考えられるが,普及は十分でなく標準化は緒についたばかりである.本講演では,新型コロナワクチンの有効性評価に関して,特に抗体測定法と標準化の観点から現状と課題について考察するとともに,令和2年度に実施した,抗体検査キットの一斉性能評価試験の結果を紹介する.</p>