著者
山下 雅幸 阿部 純 島本 義也
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.459-468, 1993-03-31
被引用文献数
2

ペレニアルライグラスの2倍体品種の遺伝的分化を明かにするために,8アイソザイム遺伝子座(Aco1,Aco2,Aph1,Got3,Pgi2,Pgm1,Poxおよび6Pgd1)の対立遺伝子頻度の変異を解析した。ペレニアルライグラスにおける8アイソザイム遺伝子座の遺伝子多様度は81%が品種内,19%が品種間であることが示された。いくつかの遺伝子座において,対立遺伝子頻度が育成国を異にする品種群の間で異なり,これらの品種群の間に遺伝的分化が生じていることが示唆された。さらに,対立遺伝子頻度に基づいて主成分分析を行った結果,オランダ,ドイツおよびU.S.A.で育成された品種の散布図に特徴が観察された。オランダ,ドイツおよびデンマークの品種群は互いに遺伝的距離が近く,1つのクラスターを形成した。U.S.A.の品種群は異なるクラスターを形成したが,これら2つのクラスターの遺伝的距離は近かった。オセアニアで育成された品種群は,ヨーロッパ諸国の品種群から遺伝的距離が最も遠かった。