著者
寺澤 桂太郎 渡部 和義 寺林 幹夫 蔵元 茂 横本 泰樹 大谷 京子 島村 和位 山下 和正
出版者
日本毒性学会
雑誌
The Journal of Toxicological Sciences (ISSN:03881350)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-15, 1992-12-26

FUT-187の急性毒性をマウス, ラットでは経口, 皮下および静脈内投与により, イヌでは経口投与により検討し以下の成績を得た。1 LD_<50>値は, マウスでは経口投与で雄; 4,395mg/kg, 雌; 3,626mg/kg, 皮下投与群で雄; 6,284mg/kg, 雌; 5,492mg/kg, 静脈内投与で雄; 39.4mg/kg, 雌; 41.4mg/kgであった。ラットでは経口投与で雄; 4,653mg/kg, 雌; 3,761mg/kg,皮下投与で雄; 6,799mg/kg, 雌; 3,343mg/kg, 静脈内投与で雄; 21.8mg/kg, 雌で15.8mg/kgであった。イヌでは3,000mg/kg付近と推定された。2 一般状態観察においては, マウスおよびラットの各投与経路にほぼ共通して投与後に腹這い姿勢, 痙攣, 吃逆, チアノーゼ, 自発運動の減少, 立毛および流涎等がみられた。イヌでは嘔吐および自発運動の減少, 腹臥, 横臥, 蹲り姿勢, 歩行失調および流涎等が観察された。3 剖検では, マウスおよびラットの経口投与で, 胃の膨満, 胃と肝の癒着, 消化管における硬化, 斑状出血または糜欄等がみられた。皮下投与では投与部位に被験物質の貯留および壊死等が観察された。イヌでは死亡例に消化管粘膜の赤色化あるいは粗造化が見られ病理組織学的に消化管粘膜の剥離, 変性, うっ血ないし出血が, 生存例では雌の高用量群で小腸の絨毛の萎縮がみられた。