- 著者
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島袋 林秀
- 出版者
- 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
- 雑誌
- 日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.4, pp.668-671, 2021 (Released:2021-04-26)
- 参考文献数
- 9
総論 1.はじめに─新生児搬送の究極的な原則─ 新生児搬送の究極的な原則は,母体(胎)搬送によって新生児搬送を極力回避することである.限られた人材・資材・空間での新生児搬送は,搬送医学(transport medicine)の高度な技術と経験が求められ,はるかに母体搬送よりリスクが高いからである.一方で,新生児搬送は新生児科医師には直面することも多く,不可避の技術でもある.慢性期の転院だけでなく,早産児の予期せぬ出生,胎盤早期剥離により母体搬送の時間すらない状況,低体温療法実施施設への搬送,さらには外科手術による緊急搬送等も稀ではない.また,本邦では米国に比べ分娩施設が周産期センターに集約化が進んでいないために,周産期センター以外での分娩が約半数を占め,結果的に新生児搬送が必要となりやすい背景もある.本稿では,新生児科医の不可欠な技術である新生児搬送について解説する.誌面の都合上,やや総論的な概説になることをお許し願いたい.