著者
石井 健太郎 香川 将樹 島谷 和樹
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.2127-2138, 2019-12-15

パスワード/パスコード認証やパターンロック認証では,認証場面ののぞき見により他者が不正認証を受けるための情報を取得することが容易である.本研究では,この問題の低減を目指して,ワンタイム図形生成に基づく認証手法を提案する.提案手法では,正規のユーザが知る認証図形群生成ルールに基づいて,ワンタイムの正解図形とダミー図形を生成して画面に提示する.被認証者は,提示された図形群の中から正解図形を選ぶことによって認証を受ける.画面にはつど生成された図形が提示されるため,のぞき見が行われた場合であっても正解の手がかりをつかみにくいことが期待できる.詳細な検討の結果,提案手法の認証図形群生成ルールとして,4カテゴリ12ルールを定義した.定義したルールについて,1名の実験参加者が認証を受けている場面をもう1名の実験参加者がのぞき見を行う評価実験を行ったところ,のぞき見を認めているにもかかわらず高い本人パス率と他者拒否率を示し,同様の既存手法と比較してのぞき見への対策性能が高いことが示された.