著者
嶋澤 順子
出版者
一般社団法人 日本公衆衛生看護学会
雑誌
日本公衆衛生看護学会誌 (ISSN:21877122)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.250-258, 2016 (Released:2016-12-22)
参考文献数
19

目的:市町村保健師による精神障害者地域生活支援内容を明らかにし支援方法への示唆を得ることである.方法:4市町村の精神保健福祉担当課に所属する保健師4名に半構造的面接調査を実施し,質的記述的分析を行った.結果:支援内容は,ニーズの顕在化による支援の開始や集中,医療継続の確認と調整,当事者の主体的な精神病症状管理促進による悪化の予防と対策,家族の助力の確認と維持,世帯の経済的安定維持に向けた親族・専門機関との調整,在宅ケアサービスの適用とモニタリング,生活者である本人と周囲の人々との関係性把握と調整,主体的に自立していくことへの支持と促進,の8カテゴリーであった.結論:支援は,多様な相談経路からの導入に続き医療と地域生活継続の基盤形成,次いで生活者として地域に生きる力の獲得というプロセスであった.方法として,プライマリレベルの多様な相談を受けて医療につなげる,他機関からのサービスと協働し補い合いながら家族を支える,障害者がその人らしく生きていける居場所を地域の中につくる,という示唆を得た.