著者
川中 紫音 鈴木 雅之
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.65-78, 2022-02-20 (Released:2022-03-15)
参考文献数
55

本研究では高校生を対象に調査を行い,有機的統合理論に基づいた学習動機づけと部活動動機づけの関連について検討した.その結果,学習における内的調整と部活動における内的調整など,同じ調整スタイル間には正の相関がみられた.そのため,学習に自律的に取り組んでいる生徒は,部活動にも自律的に取り組む傾向にあり,学習に被統制感を持っている生徒は,部活動でも被統制感を持っている傾向にあるといえる. また,学習と部活動それぞれにおける内的調整と同一化的調整は,基本的心理欲求充足と正の相関を示した.さらに,Big Five と基本的心理欲求充足を統制した場合には,調整スタイル間の関連は弱いものとなった.これらの結果から,部活動,あるいは学習に自律的に取り組むことによって学校生活における基本的心理欲求が満たされ,基本的心理欲求の充足が学習,あるいは部活動に対する自律的な取り組みを促すという可能性が示唆された.