著者
末次 文雄 川北 智子 松尾 咲良 代田 欣二
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.73-76, 2018 (Released:2018-06-28)
参考文献数
14

12歳,去勢雄の雑種猫が突然の腰部皮膚の裂傷を主訴に来院した。腰部の皮膚は不規則に裂開し,シート状に剥離していた。皮膚組織検査で角化亢進を伴う表皮の菲薄化と真皮の膠原線維の粗鬆化が認められ,後天性皮膚脆弱症候群と診断した。本例は下顎膿瘍のための摂食障害により衰弱死したが,剖検で胆管肝炎,膜性増殖性糸球体腎炎に加え,腸絨毛の線維症が合併症として確認された。また臨床的にも,吸収不良に配慮した消化酵素配合剤の内服で皮膚徴候の改善がみられたため,吸収不良が皮膚障害に密接に関連していたものと考えられた。