- 著者
 
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             川村 健二
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 千葉大学
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.62, no.1, pp.33-39, 1986 
 
          
          
          
        
        
        
        精索静脈瘤が男子不妊症の原因となり得るかどうか,および本症が造精機能障害をもたらすとすればそのメカニズムについて検討し,次の結果を得た。1.精索静脈瘤のある不妊症の精液所見では,特発性不妊症患者の精液所見と比較して精子運動率が低下する傾向がみられた。2.精索静脈瘤手術により精液所見の改善と妊娠率の向上がみられた。3.コルチゾール,セロトニン,プロスタグランディン(PG)E,PGFを内精静脈血と末梢血で比較した結果,コルチゾール,セロトニンは両者の間に差を認めなかったが,PGE,FGFはともに内精静脈血で有意に高値を示した。4.内精静脈造影所見では,腎への逆流のある群と逆流のみられない群に分けることができた。精液所見の改善および妊娠率は前者の方が良好であった。以上より精索静脈瘤は男子不妊症の原因の一つであり,その機序として内精静脈を通して腎静脈血が逆流し,これに含まれるPGが造精機能障害をおこしていると推測された。