- 著者
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遠野 千尋
川村 秀司
- 出版者
- 一般社団法人日本消化器外科学会
- 雑誌
- 日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.12, pp.1900-1904, 2004-12-01
- 被引用文献数
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7
今回われわれは嵌頓鼠径ヘルニアの整復後に小腸狭窄をきたした症例を経験したので報告する.症例は72歳の男性で,2003年10月1日,鼠径ヘルニア嵌頓から腸閉塞をきたし,当院を受診した.嵌頓鼠径ヘルニアによる腸閉塞の診断で入院し,嵌頓を整復した.その後腸閉塞は改善し10月8日(整復から7日後)にヘルニア根治術を施行し,退院した.しかし11月4日(術後27日)に腸閉塞を再発し入院した.諸検査にて小腸の狭窄を認めた.保存的に加療したが狭窄の改善はなく,11月18日(術後41日)開腹手術を施行した.中部小腸に2か所の狭窄部を認め13cmの小腸部分切除術を施行した.術後の病理組織学的検査では虚血性小腸炎と診断された.嵌頓鼠径ヘルニアの症例に対して,整復後にも虚血性小腸炎からの小腸狭窄が遅発性にありえることから,慎重な経過観察が必要であると考えられた.