著者
川村 陽子
出版者
人間環境大学
雑誌
人間と環境 : 人間環境学研究所研究報告 : journal of Institute for Human and Environmental Studies (ISSN:13434780)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.27-35, 1998-07-31

Brown & Levinsonによれば、言語行動で人が相手とやりとりをする時の行為は、相手の面子(face)を脅かす可能性のある面子威嚇行為[Face Threatening Act (FTA)]であるという。したがって、対人コミュニケーションではこのFTAの度合いを緩和するポライトネスが求められる。本稿では、積極的配慮(positive politeness)と消極的配慮(negative politeness)の観点から、対人コミュニケーションにおけるポライトネスの諸相を考察した。さらに、積極的配慮と消極的配慮は、人間の発話行為(speech act)において、それぞれ個別的に実現されるものではなく、言語形式と発話内容の相互作用により複合的に実現されるものであることを示した。