著者
塩谷 格 川瀬 恒男
出版者
Japanese Society of Breeding
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.57-66, 1989-03-01 (Released:2008-04-18)
参考文献数
21
被引用文献数
39 47

サツマイモに最も近縁な種Ipomoea trifidaは二倍体から六倍体をふくむ倍数体複合種である.I. trifidaの二倍体(K221,B1B1,2n=30)と四倍体(K223,B2B2B2B2,2n=60)をもちいて合成した六倍体(SH,2n=90)は,サツマイモ(2n=6x=90)と同じゲノム構成B1B1B2B2B2B2をもつとされている. I. trifidaの自然三倍体(K222,2n=45)の相互交雑よつ生じた誘導六倍体(DH,2n=90)および自然六倍体(K123,2n=90)のゲノム構造を明らかにするため,DH,K123,SH,サツマイモの間のF1雑種,またそれらの戻し交雑(BC1)と復交雑の後代植物の減数分裂・第一分裂中期の染色体体合を観察した.これら六倍体には1ゲノムが4重になっている部分があると推察された.そこで,両親のもつ4重ゲノム間の相同性を確かめるため,BC,や複交雑からの後代をも供試された(表1).その結果,誘導六倍体と自然六倍体K123は,合成六倍体やサツマイモと同じゲノム構造をもつことが判明した(表3).