著者
川嶋 英嗣 川瀬 芳克 高橋 伸子 高橋 啓介
出版者
日本ロービジョン学会
雑誌
日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.6, pp.33, 2005

【目的】短波長をカットする遮光眼鏡は,中間透光体の白濁による光散乱によって起こるグレアを軽減する効果があると考えられている.本研究では人工的に白濁させたフィルタを晴眼者が装用したとき,低コントラスト視力が遮光眼鏡の使用によってどのように変化するかを検討した.<BR>【方法】晴眼者7名を対象とした.プラスチックレンズにサンドペーパーをかけることで製作した白濁フィルタを1条件使用した.遮光眼鏡は東海光学社製CCPシリーズのLY, YL, OY, RO, YG, UG, BRの7種類を用いた.低コントラスト視力測定はナイツ社製CAT2000を用いて,昼間視条件の輝度コントラスト5条件(100, 25, 10, 5, 2.5%)について実施した.測定は白濁フィルタ装用条件と装用しない晴眼条件の2条件でおこない,それぞれで遮光眼鏡を使用したときと,しないときの低コントラスト視力の比較をおこなった.<BR>【結果】白濁フィルタ装用条件では2.5, 5, 10%の低コントラスト視力が晴眼条件に比べて有意に低下していた.しかし,どの種類の遮光眼鏡を使用した場合でも,各被験者間で共通した視力値改善の傾向は見出されなかった.同様の結果は白濁フィルタを装用しない晴眼条件でも得られた.<BR>【考察】今回の実験では,白濁フィルタ装用時の低コントラスト視力が遮光眼鏡の使用で改善するという予測を支持する結果は得られなかった.これは低コントラスト視力測定装置の刺激呈示領域の背景輝度が低かったことや,白濁フィルタの透過率の設定条件が関係しているかもしれない.