著者
川越 雅弘
出版者
医学書院
雑誌
総合リハビリテーション (ISSN:03869822)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.305-311, 2019-04-10

はじめに 団塊の世代が90歳台に入る2040年にかけて,85歳以上高齢者(以下,超高齢者)が急増する.超高齢者は,他の年齢層に比べ,医療や介護,生活支援に対するニーズが高い.また,入院や死亡に対するリスクも高い.さまざまな環境の変化の影響も受けやすく,状態変化も来しやすい.生活上の課題も多領域にわたるため,単一職種だけでは課題が解決できないことも多い.これら特性,特徴を有する超高齢者が,住み慣れた地域で,安全かつ安心な生活を送るためには,医療・介護・生活支援サービスの包括的提供体制の構築と多職種間の連携強化が必要となる.こうした背景のもと,厚生労働省は,さまざまな多職種連携策を推進しているが,これら施策の意図や内容を理解するためには,まずその背景を理解しておく必要がある. そこで,多職種連携が求められる背景について,人口構造の変化,高齢者の医療・介護ニーズの視点から整理を行う.次に,多職種連携の機能強化に関する制度改正/報酬改定のなかから,リハビリテーションに関する3つのテーマ(① 入退院・退所時の連携強化,② 入院中〜退院後の一貫したリハビリテーション提供の促進(同一職種間の縦の連携強化),③ 自立支援・重度化防止の推進)に焦点を当て,リハビリテーションの視点からみた制度改正/報酬改定のポイントとリハビリテーション職に期待される役割について解説する.最後に,同一職種および他の職種間との連携強化策について私見を述べる.