著者
川野 浩志 石川 剛司 圓尾 拓也 並河 和彦 信田 卓男
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.23-27, 2012 (Released:2012-04-17)
参考文献数
18

ミニチュア・ダックスフント,オス,12歳が,鼻稜部,体幹部,足根関節部の皮膚病変,腹部膨満と多飲多尿(192 ml/kg/day)を呈して来院した。ACTH刺激試験では,投与前のコルチゾール値が12.1 μg/dl,投与1時間後が68.4 μg/dlであった。下垂体依存性副腎皮質機能亢進症(PDH)と診断し,小分割照射(毎週1回[6 Gy],合計3回[18Gy])を実施した。飲水量は徐々に減少し,約1年後には85 ml/kg/dayとなり,被毛も改善した。ACTH刺激試験では,投与前が6.3 μg/dl,投与1時間後が36.1 μg/dlであった。ACTH試験では依然高値であったが,PDHに対する低線量小分割照射は,臨床症状の改善には有効である可能性が示唆された。