著者
川間,健之介
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究
巻号頁・発行日
vol.33, 2009-03-25

算数文章題の理解に困難を持つ小学校4年生男児に、文章題の解決過程のうち統合過程の問題に対応するために具体物操作を行うなどの表象化指導を行なった。文章題は、特性に応じて加法6類型、減法12類型に分け、その問題類型に基づいて学習の経過を検討した。指導の終盤では具体物操作を行わなくても、文章題を解決できるようになった。しかし、学習の経過を見てみると、未知数が変化分や初期量である逆型の問題では、部分-全体スキーマの使用が困難なことから、具体物操作を行わなければ問題の理解が困難であった。量の差の比較型の問題は、指導の初期では具体物操作を行っても、問題構造の理解が困難であった。差分が未知数である問題では、1対1対応スキーマを用いていた。比較対象量や基準量が未知数の問題では、1対1対応スキーマが使用できず、さらに本児が用語から推測する演算と必要な演算が異なる問題では、習得に長期の時間を要した。