著者
巻田 和男
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.15-24, 1996-03

最近の地球磁気の研究によると, 地球磁場はこの1000年間に急速に減少しており, もし今の減少速度で減り続けると, あと1000年ほどで地球磁場がなくなってしまうと言われている。注目すべき点は, 南アメリカ周辺部において, 地球磁場の減少速度が特に著しいということである。この地域は南大西洋磁気異常帯として知られているように, もともと磁場強度が大変弱い所であるため, 今の減少速度で推移すると, この地域の磁場はあと400年余りで消失してしまう状況にある。ところで, 地球磁場はこれまで何回となく磁場反転を繰り返してきたわけであるが, 近い将来, 人類は大変弱い磁場環境におかれることが予想され, 更には, 地球磁場反転の場面に遭遇する可能性も考えられる。他方, 最近の人工衛星観測によると, 地球磁場が大変弱いブラジル周辺部において, 多量の高エネルギー粒子(数MeV以上の電子及び陽子)の入射が見られることが報告されている。これらの粒子は高度数十キロメートル付近まで降下し, X線を放射していることも知られている。今後, 地球磁場の減少が続くとすれば, これらの現象がますます顕著になっていくと予想される。ただ, これらの高エネルギー粒子やX線は厚い大気に阻まれ, 地上までは到達していないため, 地上の生態系に大きな影響を与えていないと思われる。しかしながら, 超高層大気中において, これらの高エネルギー粒子が様々な電磁現象(電磁波の発生や電子密度の変動等)を引き起こしていることが考えられる。また, 最近の観測では, 高エネルギー粒子の入射がオゾン層破壊を引き起こしているという報告もある。これらの状況より, 本研究は, すでに著しく磁場強度の弱いブラジル域において, 超高層大気の現状を調査することにより, 近い将来, 地球磁場が大変弱くなった状況下における地球環境を予測することを目的としている。
著者
港屋 浩一 小野 高幸 佐藤 夏雄 巻田 和男 芳野 赳夫
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.113-147, 1994-07

オーロラの位置, 形および動きに関する南北共役性の解析を行うためにオーロラ画像処理システムの開発を行った。本システムは以下の3点で重要な特徴をもっている。1)本システムにより, 大量の画像データを高速かつ効率的に解析できる。2)磁気座標展開図およびオーロラダイナミック表示図により, オーロラの位置, 形および動きに関する南北比較が容易である。3)昭和基地とあすか基地の画像を合成することにより広範囲のオーロラ像を確認することができる。本システムを用いた実データ解析として, 1991年9月9日∿10日, 昭和基地, あすか基地, Husafellの3点同時に観測されたSITオーロラTVカメラデータに適用してみた。