著者
入倉 敏広 市原 裕子
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.711-714, 2009-07

ニホンナシ栽培では毎年10a当たり主要品種の「幸水」で599kg、「豊水」で1,057kgの剪定枝が発生している。これらの剪定枝は、そのほとんどが焼却処分されており、周辺環境に対する煙や悪臭等の影響が懸念されている。一方、循環型社会の構築を目的として、剪定枝等の良質な有機物は資源として適正にリサイクルさせていくことが求められており、焼却以外の利用法を開発することが急務となっている。千葉県内では剪定枝をチップ化し、木質プラスチックの原料として活用するなどの動きも見られているが、剪定枝チップの利用用途は限られているのが現状である。千葉県木更津市牛袋川東地区においてもナシ栽培で発生する剪定枝の有効活用を模索していた。同地区では2007年より農林水産省の「農地・水・環境保全向上対策」に取り組んでおり、その活動の一環として集落で管理している用水路脇の桜並木をナシ剪定枝のチップで被覆し、土壌マルチ資材としての有用性を試験した。その結果、雑草防止効果が認められたため、利用法に関して明らかになった若干の知見を報告する。