著者
市川 和彦 Kazuhiko Ichikawa 会津大学短期大学部社会福祉学科長(所属は掲載当時のものです)
雑誌
会津大学短期大学部研究紀要(CD-ROM) = Bulletin of Junior College Division, the University of Aizu
巻号頁・発行日
no.73, pp.159-176, 2016-03-25

施設内において不適切な関わり(虐待)や利用者による暴力的行為の無い「安心できる温かい風土を醸成するためには、援助者が相手の身体に直接触れる非言語コミュニケーションである「触れる関わりRC:Reach Communication)」が有効であり、その根拠の一つとして「つながる喜び」を求めるホルモンであるオキシトシンによる自閉症(ASD)児者への生理的側面からの影響も看過できない。「触れる関わり」の具体的技法として「プット」「プッシュ」「ストローク」「プレス」「タッピング」「グリップ」の諸技法が挙げられるが、触れられる事に嫌悪や恐怖を感じるケースもあるため、援助者は触れても大丈夫かどうか、触れ方の丁寧な選択、事前の説明・同意など、援助者は事前のアセスメントにより慎重・適切に判断することが求められる。また、男性利用者の女性支援者に触れられることの刺激や、男性援助者から女性利用者への性的虐待の可能性も否定できないため、原則、同性同士で実施するなど援助者には専門職としての高い倫理観が求められる。