著者
市毛 竣 五十嵐 治一 石原 聖司
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.1D1GS203, 2022 (Released:2022-07-11)

近年のAIに関する課題として,機械学習の推論結果の内部のブラックボックスが挙げられる.その解決アプローチとして,人間の主観に沿うルールにより行うファジィ制御と強化学習の融合は有効な手法だといえる. ファジィ制御と強化学習の融合方式は以前から多くの試みがあった.五十嵐らはファジィ制御ルールを方策に持つ方策勾配法を提案した.そこではルール重みやメンバーシップ関数内部パラメータの学習則を述べている. 本研究では,自動車の速度制御問題の事例において,メンバーシップ関数をシグモイド関数で近似し,シグモイド関数内のパラメータ及びルール重みの学習を行った.学習実験の結果,適切なパラメータ値を得ることを確認した.しかし,この場合もメンバーシップ関数の概形は人間が設計していた.そこで,メンバーシップ関数をニューラルネットワークで近似し,適切なメンバーシップ関数の形状をゼロから学習できるか試みた.学習実験の結果,ランダムなパラメータの初期値から人間が設計したメンバーシップ関数の形状によく似た関数形を得ることができた.これは,本学習方式により,人間のファジィ的な概念をゼロから獲得できることを示唆している.