著者
西村 千秋 小坂 明生 常光 和子 吉沢 修治 南雲 仁一
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.28-33, 1984-06-30

手掌部より導出された皮膚電位水準(SPL)は覚醒水準の低下とともにその電気的陰性度が減少する。この現象を利用して自動車運転時の覚醒水準の評価を行なった。第一の実験において,試走路運転中のドライバーからSPL,脳波(EEG),眼球運動(EOG)および心電図(ECG)の導出を行なった。実験中に,覚醒水準の低下に起因する危険な運転が見られた。実験の結果,SPLとEOGについては覚醒水準と相関のあることが示された。しかし,EEGとECGについては覚醒水準との関連が認められなかった。つぎに第二の実験を行ない,SPLを覚醒水準の指標として,その制御可能性を検討した。ドライバーのSPLが所定の閾価に達すると,実験者は音声刺激をドライバーに与えた。この実験の結果,SPLは閾価以上に保持され,運転行動にもミスのないことが示された。このフィードバック手法は,自動車の運転手や飛行機のパイロットなどのためのいねむり警報システムに利用できるであろう。