著者
常田 友貴 中沢 実
雑誌
第29回マルチメディア通信と分散処理ワークショップ論文集
巻号頁・発行日
pp.57-63, 2021-10-18

昨今,新型コロナウイルス感染症の影響により,オンライン上でコミュニケーションを行う機会が多くなった.しかし,オンライン上でのコミュニケーション機能の不足が問題になっている.特に,プレゼンテーションのような相互の親密なコミュニケーションが必要になる場合では,満足度低下の要因となっ ている.このような問題を解決するために脳波を用いたオンライン講演の感情フィードバック手法を考案 する.しかし,現状オンライン上の相互コミュニケーションを対象としたデータセットが存在せず,脳波 を利用した感情分類データセットにおいても分類する感情の種類が少なく,作成したモデルから脳波特性の分析まで行っている研究は少ない.そこで本研究では,TED 視聴時の脳波を「通常(Neutral)」,「困惑(Confused)」,「面白い(Interested)」,「退屈(Bored)」という 4 つの感情で評価したデータセットを作成し,XGBoost を利用して感情分類を行った.また, AI モデルを説明することができる SHAP を利用して今回の研究で作成したXGBoost モデルから脳波特徴を分析した.その結果,感情分類分類では 72.47% の精度を得ることができた.さらに,SHAP を利用した分析では全てのクラスにおいて前頭葉周辺から取 得した脳波の貢献度が高く,最も貢献度が高い額右側面の脳波(F4)に関しては「困惑(Confused)」クラ スで脳波の周波数帯と貢献度が正の相関があり,「退屈(Bored)」クラスで負の相関があるということがわかった.