著者
福永 晃太 藤原 康博 圓崎 将大 小味 昌憲 平井 俊範 東 美菜子
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
pp.2023-1378, (Released:2023-08-07)
参考文献数
24

【目的】Voxel-based quantification (VBQ) smoothingは,Montreal Neurological Institute標準空間上の定量画像に対する平滑化方法の一つである.VBQ smoothingは,組織境界の定量値の変化を抑制する特徴をもつが,脳の緩和時間マップに適用する際に緩和時間の変化をどの程度抑制できるかは明らかになっていない.本研究の目的は,緩和時間マップに対するVBQ smoothingの有用性を明らかにすることである.【方法】健常者20名を対象に2D multi-dynamic multi-echo sequenceを用いて脳を撮像し,緩和時間(T1値,T2値,プロトン密度)画像を取得した.緩和時間マップのカーネルサイズを1から6 mmまで変化させてVBQ smoothingとGaussian smoothingを適用し,脳組織を対象に平滑化後の緩和時間の変化を評価した.【結果】VBQ smoothingを適用した緩和時間マップは,Gaussian smoothingと比較して平滑化による緩和時間の変化が小さかった.また,カーネルサイズの増加に伴う緩和時間の変化は,Gaussian smoothingと比較して小さかった.そのため,VBQ smoothingは,緩和時間マップに対して平滑化を行う場合,Gaussian smoothingよりも緩和時間の変化を小さくできることが示された.【結語】VBQ smoothingは,平滑化による緩和時間の変化を抑制でき,緩和時間マップに対して有用な平滑化方法である.特に緩和時間が大きく異なる組織が隣接する領域で有用性が高い.
著者
福永 晃太 圓﨑 将大 小味 昌憲 東 美菜子 平井 俊範 藤原 康博
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.663-673, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
29

【目的】Three-dimensional (3D) quantification using an interleaved Look-Locker acquisition sequence with T2 preparation pulse(QALAS)は,緩和時間を測定可能なシーケンスの一つである.3D-QALASは短時間に高い空間分解能で撮像可能な特徴があるが,3.0 Tにおける3D-QALASの緩和時間の測定精度や従来法とのバイアスは明らかになっていない.本研究の目的は,3.0 Tにおける3D-QALASの緩和時間を従来法と比較し,明らかにすることである.【方法】3D-QALASでファントムのT1値とT2値を測定し,それらの精度を評価した.次に,健常者の脳組織のT1値,T2値,プロトン密度を2D multi-dynamic multi-echo(MDME)と3D-QALASで測定し,それらの差を評価した.【結果】ファントムによる評価において,3D-QALASのT1値は,inversion recovery spin-echoのT1値より平均8.3%延長した.3D-QALASのT2値は,multi-echo spin-echoのT2値より平均18.4%短縮した.生体による評価では,3D-QALASの平均のT1値とT2値とPDは,2D-MDMEと比較して,それぞれ5.3%延長,9.6%短縮,7.0%増加した.【結語】3.0 Tの3D-QALASはT1値が1000 ms未満では測定精度が高いが,それ以上では過大評価される.また,3D-QALASのT2値は過小評価され,T2値が長いほどその傾向は大きくなる.