著者
布尾 勝一郎 平井 辰也
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.175, pp.34-49, 2020-04-25 (Released:2022-04-26)
参考文献数
8

近年,外国人介護・看護労働者の受け入れが急速に進んでいる。とりわけ,介護の分野では,経済連携協定 (EPA) に基づく介護福祉士候補者に加え,在留資格「介護」の創設,外国人技能実習制度への介護職種の追加,在留資格「特定技能」での就労など,ルートも多様化・複雑化している。また,それに伴い,労働者のキャリア形成や,その過程で生じる問題も多様化していると思われる。 本稿では,それらの各制度や,制度に基づき就労する労働者のキャリアパスの概要を示す。そのうえで,元EPA介護福祉士・看護師候補者に対して行ったインタビューの結果を紹介し,候補者ら自身のキャリア形成実態や,キャリアについての考え方の一端を明らかにする。さらに,インタビューを通じて明らかになった,制度や社会の問題点を指摘し,改善のための提言を行う。