著者
伊藤大毅 平井重行
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2013-EC-29, no.1, pp.1-6, 2013-08-03

我々は,既存の浴室環境を活用しつつ埋め込まれたセンサを用いたユーザインタフェースとそのエンタテインメント応用の研究を行ってきた.そして,これまでは浴槽に対して 「触れる」 「こする」 の 2 つの操作手法とその応用システムの研究を行ってきた.今回,我々は浴槽を手指で 「叩く」 操作インタフェースを元にしたお風呂ドラムシステム BathDrum を提案する. BathDrum は浴槽縁の内側に複数設置したピエゾセンサで浴槽の叩打音を検出し,その 「叩打位置 (叩く場所)」 や 「叩打音色 (叩き方)」 に対応したサウンドを鳴らすシステムである.本稿では,主に叩打位置検出処理に関する内容について報告する.ここでの叩打位置検出処理は,複数センサへの叩打音の振動到達時間差から叩打位置を算出するものだが,本研究システムが 「楽器」 であることとシステムの汎用性に主眼を置き,センサ数と応答速度を重視している.そして,実際の浴槽での叩打実験に基づき,具体的な位置検出処理を検討した.これにより,キャリブレーションを基に様々な形状・材質の浴槽に対して適切な叩打位置検出可能範囲を設定することを確認した.またリアルタイムに叩打位置を出力するシステムの実装も行った.