著者
平敷 卓
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.335-353, 2009 (Released:2022-07-15)
参考文献数
9

本稿では,近年の沖縄県市町村財政において,国庫補助負担金改革,公共事業削減の過程で生じつつある財政格差の様相を国庫支出金の交付状況,特に公共事業に係る市町村の普通建設事業費支出金及び歳出面での普通建設事業費の動向から明らかにする。 そして,本分析を通じて,1990年代後半以降の基地移設関連に伴う財政措置は沖縄県北部市町村への普通建設事業費支出金の配分を高める一方で,離島市町村との格差を拡大させつつ展開したことを明らかにする。また2000年度以降,比較的財源に余裕がある基地所在市町村においても,普通建設事業費への国費充当率を一層高めており,基地政策関連の財政措置への依存を深めている。このことは従来,補償的な意味を持つ自治体への基地関連支出が,基地所在市町村において財源保障的な意味を強めつつあること示唆している。そして,県内市町村間の格差の主要因となっていることを明らかにする。