- 著者
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平林(宮部) 真衣
吉野 孝
河添 悦昌
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, no.1, pp.29-44, 2022-01-15
非常事態下では流言が拡散しやすく,マイクロブログ上での対策の検討は急務である.本論文では,新型コロナウイルス感染症流行(非常事態)下でのTwitter(マイクロブログ)上の流言の特徴を,約6カ月分の流言訂正データにより分析した.分析の結果,非常事態下におけるマイクロブログ上の流言には特徴が見られ,今後流言対策において考慮すべき特徴として以下の点を明らかにした.(1)期間全体では,収集される流言情報全体のうち非常事態関連の流言が占める割合は少ないが,日によって割合は異なり,多くの割合を占める日もある.また,割合が急増する前には,原因と考えられる実社会上の出来事が存在する場合がある.(2)非常事態関連の流言の内容は11種類の主題に大別され,人間の行動につながりうる内容や,社会的に影響を与えうる内容が含まれた.これらは,個人・社会一般の「経済状況」や「精神的健康状態」に対して悪影響を及ぼす可能性がある.(3)期間中の訂正数の推移を分析した結果,特定期間に集中的に発生した後に収束していくものと,訂正数の突出箇所が期間中に複数出現するものが見られた.(4)マイクロブログ上の流言拡散には,従来の流言流布に関する知見が適用できない可能性がある.