著者
平生 尚之 稲葉 綾乃 井澤 信三
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.147-158, 2018-09-30 (Released:2019-04-05)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究では、自閉症スペクトラム障害特性(以下、ASD)を背景とするひきこもり状態にある人の家族を対象とし、ASDに特化したCRAFTプログラムによる介入を実施した。本プログラムは、個別セッションと集団セッションの併用型とし、対象者は本人相談につながりにくい9家族12名の親であった。本介入の結果、ひきこもり行動チェックリストの得点が改善され、本人10名中6名が相談につながり、別の1名はアルバイトを開始した。また、家族の心理的ストレス反応(SRS-18)の低減も認められた。本介入では、ひきこもり状態にある本人がASD特性のなかでも受け身型で、なおかつ対人不安の強いタイプに効果的であった。一方で、参加した親のなかでパートナーにもASD特性が疑われる場合は、精神健康度(GHQ-28)が介入後に低減したが、フォローアップ時には再上昇が認められた。