著者
平田 光弘
出版者
星城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の主要目的は、日本の不祥事企業に着目して、不祥事企業が必死の思いで経営再生に取り組み、社会からの信頼回復に立ち向かう事態をつぶさに観察することによって、「社会に信頼される企業」形成の実践的条件を探ることにあった。1不祥事企業が経営再生するための鍵概念は、「持続可能な発展」「社会に信頼される企業」「新しい企業の社会的責任」「コーポレート・ガバナンス」「コンプライアンス」「内部統制」および「リスク・マネジメント」である。これらの鍵概念は同時に、不祥事とは一見無縁の、堅実に経営業績を上げている企業が、いまの経営を、そしてこれからの事業展開を考えていく上で欠かせない鍵概念でもある。2不祥事企業が経営再生するための必要条件は、(1)起業の原点に帰り、自社の社会における存在意義と使命を改めて問い、確認し、それを全社員が共有すること、(2)不祥事の芽は現場にあるとの認識に立って、全社員が常に危機意識を共有すること、(3)企業はこぞって、地球社会の持続可能な発展に貢献することが期待されているとの認識に立って、杜会から信頼される企業づくりに努め、そして、それを可能にするのがCSR経営であることを自覚し、実践することである。これらの条件は同時に、「社会に信頼される企業」形成の実践的条件をもなしている。3「社会に信頼される企業」形成の実践的条件は、(1)経営者は明確な経営倫理観・経営姿勢を持ち、常に起業の原点に帰り、自社の社会における存在意義と使命を問い、社員との対話等のコミュニケーションを通じて、これを社員とともに確認し共有すること、(2)経営者は社員とともに、不祥事の芽は現場にあるとの認識に立って、危機意識を共有すること、(3)経営者は社員とともに、社内の聖域をなくすことに努め、風通しの良い企業風土を醸成し、経営の透明度を高め、情報開示すること、(4)経営者は社員とともに、自社も地球杜会の持続可能な発展に対する貢献を期待されているとの認識に立って、社会から信頼される企業づくりに努め、そして、それを可能にするのがCSR経営であることを自覚し、実践することである。
著者
平田 光弘
出版者
日本評論社
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.96, no.4, pp.p363-381, 1986-10

論文タイプ||論説