著者
寺島 滋 今井 登 冨永 衛 平田 静子 谷口 政碩
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.319-324, 2000-05-05
被引用文献数
4 10

微量元素の存在形態が明らかな土壌標準試料の作製方法を研究した. まず, 徴量元素を含む31種の試薬類(主として酸化物)と長石粉末を混合・粉砕して微細化し, これをつくば市の関東ローム層から採取した源土壌(黒ボク土)に添加し, 大型ボールミルで粉砕・混合した. ふるい分け, 均質化操作を行った後, 約80g入りの試料1400本を調製した. 各元素の添加量は, 平均的土壌中元素濃度の10〜100倍を目安とし, 約1000 μg/g(As, Co, Cr, Cu, Mo, Ni, Pb, V, W, Y, Zn, Zr), 100μg/g(B, Be, Bi, Br, Cd, Sb, sn, Ta),10μg/g(Ag, Hg, I, In, Se, Te, Tl), 1 μg/g(Au, Pd, Pt, Rh)とした. 試料の均質性を検討するため, 分割番号の異なる10本の試料を抜き取り, その0.1gを前処理して主成分(Fe, Mn, Mg, Ca, Na, K)と微量成分(Cr, Cu, Ni, Pb, V, Zn)を定暈した結果, 相対標準偏差は最大2.08%で不均質は存在しないと考えられた. 調製した標準試料について鉱物組成を明らかにするとともに, 異なる研究機関で協同分析を実施し, 主・微量成分含有量の推薦値又は参考値を提示した.
著者
平田 静子
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.T64-T68, 1984-08-05
被引用文献数
4 2

誘導結合プラズマ発光分析法による標準岩石試料(地質調査所JG-1,TB-1,JA-1,JB-2)及び標準たい積物試料(NBS SRM 1645, 1646)中の13元素の同時定量法を検討した.高周波電力1.6kW,プラズマ内測光位置をコイル上16mmとし,ネブライザーはガラス同軸型噴霧器を用いた.検出限界は鉄0.004,マンガン 0.002,リン0.090,銅0.002,ニッケル0.007,クロム0.004,モリブデン0.004,チタン0.001,バナジウム0.003,アルミュウム0.005,コバルト0.001,マグネシウム0.009,亜鉛0.004 ppmであった.分析精度は標準岩石及び標準たい積物試料中の鉄,マンガン,チタン,アルミニウム,マグネシウムについては±1%以下,リン,銅,ニッケル,クロム,モリブデン,バナジウム,コバルト,亜鉛のほとんどについては±5%以下の分析精度で定量できたが,一部JG-1の銅,ニッケル,モリブデンについては存在量が微量であるために分析精度は悪くなった.正確さは共存する主要成分の分光干渉,溶液の粘性の影響を受け,JB-1,JA-1,JB-2では補正を行ってもモリブデンの定量は困難であった.