著者
鈴木 洸次郎 平見 泰通 谷相 美智 毛利 智代 合田 智英 藤山 亮治 清岡 俊一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.2, pp.186-190, 1987-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10

3-ホルミルショウノウは,グリシンエチルエステルと反応させると,エノール化するためSchiff塩基をつくらず,3-[N-(エトキシカルボニルメチル)アミノメチレン]ショウノウを生成した。これをリチウム=ジイソプロピルアミド(以下LDA略記する)存在下に,ヨウ化メチルおよび塩化ベンジルと反応させると,低い不斉収率でL-Ala(9.2%e.e.)およびL-Phe(4.3%e.e。)が得られた。N-メチルグリシンエズテルに代えると,不斉収率が高くなり,しかもD-アミノ酸が得られた。すなわちD-(NCH3)Ala(43.3%e.e.),D-(N-CH3)Phe(26.5%e.e.)。N-ベンジル化合物のアルキル化でもD-形が生成した。N-置換基がアルキル化にさいし強い影響をおよぼすことを考慮し,またホルミル基のエノール化を防ぐために,exo-3-ホルミル-3-メチルショウノウを合成した。これを用いてグリシンエステルとSchiff塩基をつくりアルキル化した。結果は予想どおり,収率,不斉収率ともに向上した。つぎにおもなものを示す。L-Ala(70.2%e.e.),D-Phe(84.7%e.e.),L-Leu(71.6%e.e.)。