著者
平野 四蔵 貴家 恕夫 田淵 清
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.10, no.13, pp.1361-1367, 1961-12-05 (Released:2010-02-16)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

X線回折計の工業分析化学への応用の一つとして,黄銅を硝酸に溶解し蒸発乾固して硝酸塩としたのち,400~500℃で熱分解し,これを900℃前後の温度に加熱して,酸化銅,酸化亜鉛の完全な結晶体とした.X線回折計によって再現性よく定量する方法について検討した結果,900℃で加熱して作った酸化物をメノウ乳鉢で約30分間粉砕して,回折線の強度として回折ピークの面積(半価幅×高さ)を用いると精度よく定量でき,分析値の再現性は±2%位であった.黄銅の標準試料の値と本法による定量値とはよく一致した.
著者
平野 四蔵 黒部 森司
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.4, no.6, pp.379-383, 1955-08-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
5

近年イオン交換樹脂を工業分析に応用した報文は極めて多数ある1)2)3)等.またイオン交換樹脂を使用して純粋な塩類から酸,アルカリの標準液を調製できる可能性に関しても多くの人がのべている.そして実際アルカリ標準液調製に関する報文も4)5),二,三見られる.実験室において標準試薬として使用し得る塩類,たとえぼ,純粋な塩化ナトリウムはあるが,酸またはアルカリの標準試薬の手持ちがないと言うような場合にもイオン交換樹脂を用いて正確に濃度一定の酸またはアルカリ標準液を調製できるので便利である.しかしながらイオン交換樹脂の品位が不良であると誤差を生ずることがある.著者等は数種の塩類および陽イオン交換樹脂を用いて得られる酸標準液の精度について実験した.その結果アンバーライトIR-120(分析用)を使用することによって塩化ナトリウム,硫酸カリウム,硫酸アンモニウム,塩化アンモニウムなどから0.2%以下の誤差でN/10酸標準液を調製することができた.以下にその実験の大要をのべる.