著者
平野 実良
出版者
新潟産業大学経済学部
雑誌
新潟産業大学経済学部紀要 (ISSN:13411551)
巻号頁・発行日
no.55, pp.19-28, 2020-02

地域通貨は、地域経済の活性化、住民福祉の支援、社会問題の解決、コミュニティの活性化などを目指し、発行主体・参加主体・発行方式・目的・規模といった点において多種多様なものが存在している。我が国では、1990年代後半から2000年代前半にかけて多くの地域通貨が生み出されたが、2005年頃をピークにして下降している。地域通貨には、始めることはそれほど難しくないようであるが運営(継続)していくことは難しい、という特徴があると考えられる。運営上の課題はいくつかあるが、中でも流通量・発行量が重要あるいは一番大事な指標といわれている。本稿では、新潟県柏崎市で流通している地域通貨:風輪通貨を事例とし、2017年度に実施した柏崎市活性化を目指す地域通貨流通のための市民意識・消費動向調査をとおして商店街利用状況、商店街に対する不満、不足している業種、および、地域通貨と風輪通貨の認知度や関心の度合いなどの現状と課題を明らかにし、商店街活性化に対しての地域通貨の利活用方法を検討する。これは、商店街の状況を精査することにより現状や課題を把握し、その中から重要度や優先度の高いものを見つけ出し、その課題に対して風輪通貨をどのように利活用すれば適切かつ効率的に効果を最大限に発揮できるかを考えた結果として有意義なものである。