著者
田中 修 広 三寿 池田 洋
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.40-46, 1966

フィールドパイアス型ベータトロンはflux-forcingと呼ばれる2つの磁気回路をもっている点で普通型べータトロンと異なっている。軌道磁界に静磁界のバイアスをかけることにより加速時間を長くし, 交流励磁だけの場合に比べて加速エネルギーを2倍近く増加させることができる。したがって, べータトロン本体の大きさの割合にエネルギーが大幅に上げられる。しかし, 中心磁束と軌道磁界の間に位相のズレを生じ, そのためにバイアス角に限界があり, X線出力は現在までに45°のバイアス角まででている。けれども, 中心磁束と軌道磁界の位相のズレから, 電子の安定軌道が自然に拡大する, いわゆるセルフエクスパンジョンの現象と安定軌道半径が連続可変であることから電子軌道について興味ある知識が得られた。また, 高エネルギーX線によるラジオグラフィの技術が進歩し, 重量金属物体の透過試験にも使用されている。