著者
月岡 一治 中俣 正美 広野 茂
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.1047-1053, 1987

Candida albicans(以下 Cand.)を抗原とする気管支喘息(以下カンジダ喘息)の発症機序を知るために, Candと共通抗原性をもつ4種の真菌, Aspergillus fumigatus(以下 Asp.), Penicillium luteum (以下 Pc.), Alternaria kikuchiana(以下 Alt.), Cladosporium cladosporioides(以下 Clad.)とハウスダスト(以下 HD)を抗原とする喘息を対象に, 発症におけるIgE抗体の関与をPK反応法により検討し, カンジダを抗原とする喘息と比較した.以下の結果がえられた.1.PK反応陽性の抗原を用いたBPTの陽性率は, Cand., HD, Asp., Pc.の間で明らかな差はなく, いずれも高率であった.2.PK反応陰性の抗原を用いたBPTの陽性率は, HD, Asp., PC., Alt., Pc.の間では明らかな差はなく, いずれも低率であった.しかしCand.では他の抗原にくらべて明らかに高率であった.3.Cand.のBPTでは, 53.5%の患者に遅発型気管支反応(LAR)がみられ, この単独LARを示した患者の26.1%だけがカンジダのPK反応陽性であった.
著者
月岡 一治 広野 茂 石川 和光
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.33, no.10, pp.853-858, 1984
被引用文献数
2

ナシ花粉症の2症例を報告した.症例1)は28歳の女性で, ナシ栽培に従事して3年目よりナシの開花期間中に鼻炎と結膜炎症状が出現するようになった.ナシ花粉抗原液による皮内反応とPK反応および鼻粘膜誘発試験と眼瞼結膜誘発試験が陽性であった.職業性のナシ花粉症と診断した.症例2)は14歳の男性で, ナシの開花期間中だけでなく通年性に鼻炎症状があった.ナシ花粉抗原液による皮内反応と鼻粘膜誘発試験が陽性であった.家族も本人もナシ栽培には従事しておらず, ナシ栽培地域に居住しているだけでナシ花粉に感作され発症したと思われた.