1 0 0 0 OA 牛の単眼症3例

著者
廣岡 實 浜名 克己
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.644-647, 1999-10-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
15

1982~91年に鹿児島県内で黒毛和種2例 (長期在胎), ホルスタイン種1例 (早産) の単眼奇形症を経験した. いずれも小柄で, 全身的な無毛または著しい減毛が認められ, 四肢は過度の伸長または軽い変形を示した. 単一の眼窩が顔面中央に位置し, 2例では眼球は1個であったが, 1例では2個が癒合していた. 上顎と鼻は欠損して顔面がしゃくれ, 切歯は歯肉で覆われていた. 頭蓋は形成不全で泉門が大きく開き, 左右大脳半球はほとんど欠損し, 下垂体は痕跡的であった. ウイルス学的に検査された1例ではアイノウイルスとIBRウイルス抗体が陽性で, 脳に組織学的病変が認められた. 鹿児島県には内外の報告から原因として疑われるバイケイソウの分布がなく, 原因は究明できなかった.